12月の米小売売上高、前月比0.7%減、3カ月連続の減少

(米国)

ニューヨーク発

2021年01月21日

米国商務省の速報(1月15日付)によると、12月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.7%減の5,409億ドルと、3カ月連続の減少となった(添付資料表参照)。ブルームバーグがまとめた市場予想は横ばいだった。なお、11月の売上高は1.1%減(速報値)から1.4%減に下方修正された(2020年12月18日記事参照)。

オックスフォード・エコノミクス(ニューヨーク)の米国担当シニアエコノミスト、リディア・バウサー氏は「(新型コロナウイルス感染再拡大などの)公衆衛生状況をめぐる不安や、レイオフの増加、失業給付の失効など、年末休暇の気分を損ねる要因は複数あった」と述べ、「バイデン氏の意欲的な財政政策は、慎重なワクチン接種の展開段階で家計支出を刺激する可能性がある」と指摘した(ロイター1月15日)。

無店舗小売り、フードサービス、食品・飲料などが押し下げ要因に

業種別にみると、無店舗小売りが前月比5.8%減の806億ドル、寄与度マイナス0.90ポイントと全体を最も押し下げた。次いで、フードサービスが4.5%減の512億ドル(寄与度マイナス0.44ポイント)、食品・飲料が1.4%減の703億ドル(同マイナス0.18ポイント)で減少に寄与した。一方、ガソリンスタンドは前月比6.6%増の378億ドルと増加幅が大きかった。

また、民間調査会社コンファレンスボードが12月22日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした12月の消費者信頼感指数は88.6と、11月(92.9)より4.3ポイント減少し、8月(86.3)以来の低水準となった。内訳をみると、現況指数は90.3(11月:105.9)で前月比15.6ポイント減少した一方で、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は87.5(11月:84.3)で3.2ポイント上昇した。

コンファレンスボードの経済指標シニアディレクターのリン・フランコ氏は「新型コロナウイルスの感染再拡大が信頼感を引き続き圧迫したことから、消費者の現況に対する見方が12月に急激に悪化した」とし、「その結果、10月に大きく改善していた消費者の休暇取得の意欲が後退した。一方で、巣ごもりで家電製品を購入する意向が高い」と述べた。また「全体として第4四半期(10~12月)の成長はさらに弱まる。消費者は2021年初めに経済が大きく回復するとは予想していない」と指摘した。

(樫葉さくら)

(米国)

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