フレルスフ内閣が総辞職、後任首相にオヨーンエルデネ官房長官

(モンゴル)

北京発

2021年01月29日

モンゴルのフレルスフ首相が1月21日の記者会見で辞意を表明し、国会本会議で首相の解任決議案が可決され、内閣が総辞職した。

フレルスフ首相は辞任の理由について、新型コロナウイルス感染対策の不手際(注)を受けて1月20日に首都ウランバートル市のスフバートル広場で感染対策を担当する国家非常事態委員会の責任を追及するデモが行われ、ソドバータル副首相(国家非常事態委員長)とムンフサイハン保健相が辞表を提出し、首相自らも責任を取って辞職することを決意したと述べている。

21日夜の国会本会議でフレルスフ首相の解任決議案が可決され、内閣総辞職が決定した。与党・人民党の執行部は22日午前、後任の首相にL.オヨーンエルデネ官房長官を推挙することを決め、27日の国会で新首相任命が承認され、ヨーンエルデネ氏が第32代首相に就任することとなった。モンゴル史上最年少の首相だ。

オヨーンエルデネ氏は1980年6月生まれの40歳。1999年に人民革命党(現・人民党)に入党後、2010年から2015年まで社会民主モンゴル青年同盟の代表を務めた。2016年の総選挙でヘンティー県選挙区から当選(現在2期目)し、2019年から官房長官を務めていた。

モンゴルでは、国会に相当する国家大会議の選挙(定数76)が2020年6月24日に実施・即日開票され、人民党が改選前と同じ62議席を獲得して大勝した。民主化後、選挙のたびに頻繁に政権交代が行われてきたが、同選挙で初めて与党が政権を維持した(2020年7月9日記事参照)。

なお、1月25日時点のモンゴル国内の新型コロナウイルスの累計陽性者数は1,643人、うち回復者は1,169人となっている。

(注)1月19日に産科病院で出産した母親が新型コロナウイルスに感染していたことが判明し、国立感染症センターに緊急搬送することになった。その際、外が氷点下にもかかわらず、出産直後の母親を上着も着せずに室内着とスリッパのまま救急車に乗せたことが非人道的として非難する世論が高まった(「ウヌードゥル紙」電子版1月19日)。

(藤井一範)

(モンゴル)

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