2020年のインフレ率は36.1%となお高水準

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年01月19日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は1月14日、2020年12月のインフレ率〔消費者物価指数(CPI)上昇率〕が前月比で4.0%上昇したと発表した(添付資料図参照)。季節により価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービス、価格統制されたエネルギーや公共サービスを除いたコアインフレ率は4.9%上昇した。2020年のインフレ率は36.1%と、2019年の53.8%から大幅に低下したものの、依然として高水準にある。

費目別にみると、12月単月で高い上昇率を記録したのは、医療・健康(前月比5.2%)、娯楽・文化(5.2%)、交通(4.9%)、外食・ホテル(4.6%)、食品・飲料(酒類を除く)(4.4%)だった(添付資料表参照)。

医療・健康は医薬品と医療保険制度「プレパガ」、交通は乗用車、燃油、航空運賃、長距離バス運賃、食品・飲料(酒類を除く)は肉類、果物の値上がりが物価を押し上げた。

前年同月比では、衣類・靴類(60.0%)、娯楽・文化(48.0%)、食品・飲料(酒類を除く)(42.1%)が高い上昇率を示した。

物価の抑制は、クリスティーナ・フェルナンデス副大統領の関心事項の1つだ。12月18日にブエノスアイレス州の州都ラ・プラタで行われた与党連合「すべての戦線」の集会において、「経済成長は2021年の大きな挑戦だが、3、4人しか生き残らないような経済成長は望まない。給与、年金、物価、公共料金を犠牲にすることなく、経済成長を実現しなければならない」と述べている。

牛肉消費促進局(IPCVA)によると、アルゼンチンの主食である牛肉の12月のブエノスアイレス首都圏における小売価格は、部位により前年同月比で60~90%増と大幅に上昇した。なお、政府は、12月31日に公布された医療保険制度「プレパガ」の保険料を2021年2月1日から7%引き上げることを認めた決議を、同日中に無効にするなど、物価の抑制に躍起になっている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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