米国が蒸留酒とワインの容量規制を緩和、焼酎など酒類の輸出に弾み

(米国、日本)

米州課

2021年01月08日

米国財務省酒類・たばこ税貿易管理局(TTB)は12月29日、蒸留酒とワインの容量規制を緩和する連邦規則の最終案を官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公示し、同日から施行した。これまで流通していた容量に加えて、蒸留酒は新たに700ミリリットル(ml)、720ml、900ml、1.8リットル(L)の4種類が、ワインは200ml、250ml、355mlの3種類が米国で流通可能な容器として認められた(注)。焼酎や泡盛、ウイスキー、ジンにとっては、今回の蒸留酒の容量規制緩和がさらなる米国への輸出拡大に向けた弾みとなると期待される。

蒸留酒とワインの容量規制の改定については、2020年1月1日に発効した日米貿易協定のサイドレターにおいて、改定に向けた協議を行うと明記されており、官報でも今回の改定が日米貿易協定も踏まえた措置と示されている。同様の規制緩和を検討することは環太平洋パートナーシップ(TPP)協定において米国と合意されていたが、米国が当該協定から脱退したことにより実現されずにいた。

米国における蒸留酒の容量規制は、長年にわたり日本からの米国向け焼酎輸出における障壁となっていた。米国での容量規制がない日本酒については、近年の日本食ブームを背景に、日本からの輸出が拡大を続け、2019年(67億6,000万円)は2014年(41億3,000万円)より26億3,000万円増加しているが、この間、蒸留酒である焼酎は、3億1,000万円から3億8,000万円とわずかな増加にとどまっている。日本で流通している焼酎の多くは4合瓶(720ml)または1升瓶(1.8L)だが、これまで米国内では同サイズの容器での蒸留酒の流通が認められていなかったことが、輸出の足かせになっていた、と指摘されている。今回の規制緩和により、日本で主に流通している一般サイズの焼酎をそのまま米国向け輸出に充てることができるため、国内の焼酎や泡盛の製造事業者にとっては輸出にかかる負担が軽減され、輸出がしやすくなる。

ワインについては、日本で流通量の多い720mlの容器も日米貿易協定のサイドレターでは米国における規制緩和の検討対象とされていたが、今回は認可されなかった。ただしTTBは今後、同サイズの容器も含めたワインの容量規制の緩和を行うとしている。

(注)12月29日以降、米国で流通可能となった蒸留酒、ワインの容器は以下のとおり。

  • 蒸留酒:50ml、100ml、200ml、375ml、700ml、720ml、750ml、900ml、1L、1.75L、1.8L
  • ワイン:50ml、100ml、187ml、200ml、250ml、355ml 、375ml、500ml、750ml、1L、1.5L、3L

(須貝智也、永田光)

(米国、日本)

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