欧州委、「ブレグジット調整準備金」の内訳公表

(EU、英国)

ブリュッセル発

2021年01月15日

欧州委員会は1月13日、英国のEU離脱(ブレグジット)に伴う悪影響を緩和する目的でEU加盟国に分配される「ブレグジット調整準備金(Brexit Adjustment Reserve)」の加盟国ごとの割当額を公表した。同準備金は2020年7月の欧州理事会(EU首脳会議)で、通常のEU予算とは別枠で50億ユーロの支出に合意していたもので、12月25日に欧州委が詳細案を提出外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしているが、割当額は13日にエリサ・フェレイラ欧州委員(結束政策・改革担当)がEU理事会(閣僚理事会)の常駐代表委員会(COREPER)で発表し、ツイッターで初めて公開した。

欧州委の提案では、50億ユーロ(2018年基準)のうち、40億ユーロは2021年中に分配され、残りは2024年に追加的に支出される。欧州委によると、割り当ては財・サービスの貿易など英国経済との結びつきの強さや、漁業への悪影響など、ブレグッジトに伴う移行期間終了によってEU各加盟国経済へ想定されるインパクトに基づいて算出した。

割当額はアイルランドが最大、オランダが続く

今回公表した割当予定額は2021年中に分配される40億ユーロ分。割当額は2018年基準額でアイルランド(9.9億ユーロ)、オランダ(7.1億ユーロ)、ドイツ(4.3億ユーロ)、フランス(4.0億ユーロ)、ベルギー(3.1億ユーロ)の順に大きかった(添付資料表参照)。割当額や順位は、英国への貿易依存度に応じた移行期間終了の加盟国への影響を図る上で参考になる。なお、産業別ではEU・英国の将来関係交渉で主要な争点の1つとなった漁業に2021年分配分の40億ユーロのうち6億ユーロを割り当てる。

フェレイラ委員は「移行期間の終了は、英国経済および対英貿易との結びつきの強い地域や自治体に深刻な経済的、社会的インパクトをもたらす。ブレクジット調整準備金は、EU内の連帯と結束を示し、最も影響を受ける層が必要な支援を得られるようにすることが目的だ」と説明した。今後、EU理事会と欧州議会が審議し、採択する見込みだ。

(安田啓)

(EU、英国)

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