12月の米失業率、6.7%で前月から横ばいも、非農業部門の雇用者数は14万人減

(米国)

ニューヨーク発

2021年01月12日

米国労働省が1月8日に発表した12月の失業率は6.7%(添付資料図、表1参照)と、市場予想(6.8%)を下回った。失業者数が前月から8,000人増加した一方、就業者数も前月から2万1,000人増加し、結果として失業率は前月から横ばいとなった。非農業部門の雇用者は14万人減で、8カ月ぶりの減少となった。

失業者のうち、一時解雇を理由とする失業者数は前月(276万2,000人)より27万7,000人増加して303万9,000人となった一方、恒常的な失業者数は前月(371万8,000人)より34万8,000人減少して337万人となった。

労働参加率(注)は前月から横ばいで61.5%だった。

平均時給は29.81ドル(11月:29.58ドル)と、前月比0.8%増、前年同月比5.1%増となった(添付資料表1参照)。平均時給は上昇したが、相対的に時給が低い娯楽・接客業などの業種で就業者が減少しているためとの指摘がある。

12月の非農業部門の雇用者数の前月差は14万人減と、市場予想(7万7,000人増、ロイター)を下回り、8カ月ぶりに減少に転じた。11月から12月への雇用増減の内訳をみると、財部門は9万3,000人増加しているものの、サービス部門が18万8,000人減少している。特に、娯楽・接客業の49万8,000人減、教育・医療サービスの3万1,000人減が目立った。なお、前月2万1,000人減だった小売業は12万1,000人増と増加に転じている。また、政府部門は4万5,000人減と4カ月連続でマイナスとなっている(添付資料表2参照)。

コーネル大学の上級経済顧問で、米国労働統計局元局長のエリカ・グロシェン氏は「12月のデータは、感謝祭後の新型コロナウイルス感染者急増と、その広がりを抑えるために設けられた制限を反映している可能性が高い」と述べている。また「娯楽・接客業で雇用が減少しているが、ビジネスモデルが変化している可能性があり、これらの雇用は完全には回復しない可能性がある」と述べ、一時的な解雇が恒常的な失業に転換している可能性に懸念を示している(abcニュース1月8日)。

(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(宮野慶太)

(米国)

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