2020年の越境EC、税関管理下のプラットフォーム利用の取引件数が63.3%増

(中国)

北京発

2021年01月27日

中国海関(税関)総署の1月4日の発表によると、税関の越境EC管理監督プラットフォームを利用した2020年の越境EC取引件数は前年比63.3%増の24億5,000万件と大幅に増加した(注)。新型コロナウイルスの流行による影響で越境ECの利用が増えたことが背景にあるとされている。

中国企業情報サイトの「企査査」によると、越境EC関連企業は全国に2万1,600社あり、2020年は前年より4,800社(59.6%増)増加した。また、復旦大学特別招聘(しょうへい)教授の黄奇帆氏(元重慶市長、中国国際経済交流中心副理事長)は「2019年の越境EC(B2C)の貿易額は1,700億元(約2兆7,200億円、1元=約16円)で、中国の貿易総額に占める割合はまだ1%未満にすぎない」として、越境ECには大きな潜在力があるとの期待感を示し、2035年には越境EC利用の貿易額が中国の貿易全体の5割を占めると予測した(「経済参考報」2020年12月4日)。

越境EC取引量の増加には、通関業務の増大に対応した税関の取り組みが寄与した。特に、販促期間に、プラットフォーム企業や越境EC関連企業の販促計画や販促商品の品目、予測販売量などを事前に把握した上で職員を適切に配置し、通関システムの運営を保証したほか、管理技術・モデルのイノベーションによって通関業務の効率化を果たした(同)。

政府部門も越境ECの発展をサポートしている。2020年5月に国務院は新たに雄安新区など46カ所の越境EC総合試験区の設立を承認し、同試験区の数は計105カ所となった。また、商務部は企業の海外倉庫の共同建設・共有を支援すること、輸出向けの融資を拡大すること、越境ECの国際ルール作りへ積極的に参加することなどの方針を示した。一方、商務部中国国際電子商取引センター研究院の李鳴涛院長は、企業がこうした越境EC関連政策によって税制や決済、通関などの面でメリットを享受するためには、各総合試験区での実施細則の具体化や統一的な運用などを強化すべきだと指摘している(同)。

(注)海関総署の2020年10月13日の発表によると、2020年1~3四半期(1~9月)の税関越境EC管理監督プラットフォームを利用した貿易額は前年同期比52.8%増の1,873億9,000万元(約2兆9,982億4,000万円、1元=約16円)となった。

(張敏)

(中国)

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