トルコ、英国との輸出入の運用に大きな混乱見られず

(トルコ、英国)

イスタンブール発

2021年01月15日

1月13日時点のトルコ進出日系物流企業からの情報によると、トルコ英国・自由貿易協定(FTA)発効(2021年1月8日記事参照)後のトルコと英国との輸出入の運用状況については、以下のとおり、関税の直接払いと保証状差し入れの両方が受け入れられており、目立った混乱は見られていないもようだ。

  • インボイス上にShipperによる原産地申告の記載がない場合、発生する関税を含む諸税を直接払いで納入。
  • インボイス上にShipperによる原産地申告の記載がある場合、税関は関税分を輸入者による保証状というかたちで取る。

今後、FTA運用に関する細則が発表される予定のため、その細則に従って、納入された諸税の還付や保証状の返却が行われる見通し。インボイス上にShipperによる原産地申告の記載がなかった場合、それに代わる書類が税関の定める期限内に提示された場合には、還付される見通しとなっている。

なお、1月1日時点で関税が増額となる品目に関して、同日以前にトルコへ輸送すべく輸送状が発行・搭載されたものについては、2月28日までに輸入申告書の承認を受けることを前提に、この決定事項の発布以前の関税率を適用する。また、1月1日以前にトルコへ輸送すべく輸送状が発行・搭載され、かつATR(注)もしくは原産地を証明する書類を伴って到着する英国産貨物については、2月28日までに輸入申告書の承認を受けることを前提に、EUの関税と住宅開発基金課徴金を適用するとされている。

1月1日以降の輸出入手続きで用いられる「Shipperによる原産地申告」の文言に関しては、関連する細目の公表が待たれているが、両国で調印された合意内容PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(336ページ、Annex3)や、英国政府による発表資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに文言例が記載されている。

なお、最新の運用状況は変更となっている可能性があるため、通関業者への確認を推奨する。

(注)ATR証明とは、モノの原産国に関係なく、トルコを含むEU/EFTA関税同盟域内で通関手続きが一度完了した物品であれば、域内では原則として無関税もしくは低税率でモノの再輸出や自由移動ができることを証明する書類。

(佐野充明)

(トルコ、英国)

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