2020年通年の貿易収支、大幅な輸入減で黒字に

(インドネシア)

ジャカルタ発

2021年01月26日

インドネシア中央統計庁(BPS)が1月15日に発表した貿易統計によると、2020年のインドネシアの貿易は、内需の低迷に伴って輸入が前年比17.3%減の1,415億6,830万ドルと大幅に減少した一方、経済が復調する中国への輸出増加などにより、輸出は1,633億750万ドルで、2.6%の減少にとどまった。その結果、貿易収支は前年の赤字から、217億3,920万ドルの黒字に転じた。なお、12月単月では、輸出額が前年同月比14.6%増、前月比8.4%増と、ともに増加した(添付資料表参照)。

2020年通年の輸出総額の94.9%を占める非石油・ガスについて、品目別にみると、動植物性油脂(前年比17.5%増)、鉄鋼(46.8%増)、電気・電子部品(2.5%増)が増加した。輸入は、鉄鋼が34.1%減少したほか、機械類が18.7%減、穀物が6.7%減など、一部を除き軒並み減少した。

非石油・ガスの輸出先では、中国が15.6%増の299億3,060万ドルで首位となり、続く米国への輸出も増加し186億2,140万ドル(4.6%増)となった。日本への輸出は128億8,330万ドル(6.7%減)となり、インド、シンガポールなども減少した。輸入先をみると、非石油・ガス輸入全体の31%を占めた中国が前年比で11.8%減少したほか、日本(32.0%減)、シンガポール(14.3%減)、米国(7.6%減)など、主要国からの輸入が軒並み減少した。日本からの輸入の減少幅は主要国の間で最も大きかった。

格付け会社ムーディーズが行った調査によると、インドネシアの2020年の貿易黒字額は2011年以降最大額となった。特に輸出は最大の貿易相手国の中国の需要増を受けて着実に回復してきた。また同社は、インドネシア、中国両国が新型コロナウイルスのワクチンをめぐって結びつきを強めているとし、それが両国のビジネス上の関係強化にも波及すると予想した(CNNインドネシア1月18日)。インドネシアは1月13日から中国シノバックの開発したワクチンの接種を開始している(2021年1月19日記事参照)。インドネシア経済改革センター(CORE)シニアリサーチャーのピーター・アブドゥラ氏は、新型コロナ禍でも輸出が好調なことに触れ、「今後のインドネシア経済は、内需ではなく貿易によってより支えられる可能性がある」と予測している(「インベスター・デーリー」紙1月18日)。

(デシ-・トリスナワティ、尾崎航)

(インドネシア)

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