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英国・スペイン間で大筋合意、ジブラルタルはシェンゲン圏に

(スペイン、英国)

マドリード発

2021年01月06日

スペイン政府は12月31日、英国領ジブラルタルをめぐる英国との2国間交渉で大筋合意に至ったと発表した。この合意により、ジブラルタルは人の移動に関してはシェンゲン圏(注)に入り、スペイン国境での入国審査が撤廃され、ジブラルタル領内の空港や港湾でシェンゲン域外との境界管理が行われる。この境界管理・警備はスペインの管轄となり、当初4年間は欧州国境沿岸警備機関(Frontex)の支援を通じて行う。これに伴い、ジブラルタル住民とスペイン人は旅券なしで自由な往来ができるようになる一方、英国人のジブラルタル入域には旅券が必要となる。

さらに、物品の移動(サービスは適用外)でも、可能な限りEUとの間で制限のない移動を確保するため、ジブラルタル側が公正な競争環境を確保すれば、EU内貨物輸送制度の適用などのメリットを享受できる予定。今回の合意はEU・英国間の取り決めとして、6カ月以内に条約化される見込みとなっている。

ジブラルタルはスペイン南端の小半島に位置する英国の海外領土だが、スペインは現在もその領有権を主張しており、英国のEU離脱交渉とは別枠で交渉が行われていた。ジブラルタルにとってスペインはEUへのゲートウエーである一方、隣接するカディス県は経済、雇用面でジブラルタルとの結びつきが強い。交渉では両国は主権問題を保留し、経済実態に即した合意となった。

産業界は英EU通商・協力協定に冷めた目も

他方、24日に合意された英国とEUの通商・協力協定について、産業界からは安堵(あんど)と失望の入り交じった反応が見られる。スペイン経団連(CEOE)は12月28日、「通商関係に法的安定性を与え、移行期間終了による混乱は軽減できたものの、期待された目標にはほど遠い」との声明を出した。

スペイン漁業連盟(COPESCA)は、英水域で今後5年間の漁獲量削減率が25%以内にとどまる合意に安堵しつつ、中長期的な見通しを強く懸念している。青果園芸輸出事業者連合(FEPEX)は、協定により年間2億ユーロ近くの関税が回避できたことを歓迎する一方、英国は他国とも通商協定を締結しており、英国市場での競争が厳しくなると予想している。

スペイン自動車工業会(ANFAC)の関係者も「合意に至っても、通関手続きの復活によるコスト上昇は不可避だ。当局は国境でのコストが膨らまないよう、円滑な通関や物流の維持に努めるべきだ」(「エル・パイス」12月16日)と述べていた。

(注)EU加盟国のうち、ブルガリア、ルーマニア、クロアチア、キプロス、アイルランドを除く22カ国と欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国4カ国。

(伊藤裕規子)

(スペイン、英国)

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