2020年GDP成長率はマイナス5.0%、金融危機に次ぐ低水準

(ドイツ)

ベルリン発

2021年01月20日

ドイツ連邦統計局は1月14日、2020年の実質GDP成長率(速報値)が前年比マイナス5.0%だったと発表した(添付資料表参照)。新型コロナウイルス感染の拡大防止のための大幅な行動制限措置により経済活動が抑制され、大幅なマイナスとなったが、金融危機後の2009年の経済の落ち込み(前年比マイナス5.7%)よりは「全体的に深刻ではなかった」とした。

需要部門別でみると、個人消費支出が前年比6.0%減、総固定資本形成が3.5%減となった一方、政府消費支出は新型コロナ対策などによる財政支出で3.4%増とプラスになった。輸出は9.9%減、輸入は8.6%減だった。また、成長率への寄与度でみると、内需はマイナス3.9ポイント、外需全体(純輸出)はマイナス1.1ポイントで、特に累次のロックダウン(都市封鎖)の影響を受けて、内需が大きくマイナス寄与する結果となった。

産業別でみると、ほぼ全ての産業が大きな影響を受けた。中でも、製造業(前年比10.4%減)、企業向けサービス(7.9%減)や小売・運輸・宿泊・飲食業(6.3%減)での落ち込みがより深刻で、プラスにとどまったのは建設業(1.4%増)のみだった。

キール世界経済研究所(IfW)のステファン・クーツ景気・成長研究センター長は「実質GDP成長率マイナス5.0%という水準は、ドイツの歴史の中で最悪の経済危機であることを示している。2009年の金融危機の際には前年比マイナス5.7%と数字は今回より大きかったが、金融危機の直前は好景気だった。他方、2020年の初めは既に2年間にわたる景気低迷の状況にあった。ゆえに、今回の需要の減少は生産の不振に直結した」と述べた。

また、ING銀行ドイツのカルステン・ブルゼスキ・チーフエコノミストは「在庫増や建設需要といった単発的な効果はもはや2020年第4四半期には支えとならず、2021年第1四半期は中国からの需要もロックダウンと旧正月を背景に弱まる可能性があることを考えると、ドイツ経済の第1四半期の実績も弱含むだろう」とした。

(田中将吾)

(ドイツ)

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