米アップル、初の黒人起業家支援施設をデトロイトに開設へ

(米国)

シカゴ発

2021年01月21日

米国アップルは1月13日、ミシガン州デトロイトに同社にとって全米初となる黒人起業家支援施設を開設すると発表した。2020年5月にミネソタ州ミネアポリスで起こった警官による黒人のジョージ・フロイド氏の殺害事件以後、いわゆる「ブラック・ライブズ・マター(BLM)運動」が全米だけでなく世界中に広がったことを受け、同社は翌6月に人種差別是正に貢献するための黒人コミュニティーの支援活動に1億ドルを拠出する方針を発表していた。今回のプロジェクトはその一環となる。

アップルは、米国勢調査局のデータに基づき、デトロイトには5万社以上の黒人経営の会社があり、活発な黒人の起業家・開発者のコミュニティーを形成していると強調。ミシガン州立大学との連携で「アップル・デベロッパー・アカデミー」を2021年後半に開設し、アップルのオペレーティングシステムであるiOS向けアプリ開発に必要なスキルを学べるコースを提供する。参加者のITに関する経験は問わない。アカデミーには期間に応じて2種類のプログラムが開設される予定で、30日間の短期コースではアプリ開発を検討する人向けに基本的なプログラムを提供する。10~12カ月の長期コースでは、アプリ開発に必要な専門知識を提供し、起業支援も行うとしている。両プログラム合わせて毎年1,000人を受け入れる見込みだ。

今回の発表に際し同社は、多くの黒人が通う「歴史的黒人大学(HBCUs)」(注)の学生向けに、アトランタ大学プロペル・センターと協力して、人工知能(AI)やデザインなどの多様な教育プログラムを提供することも発表した。また、マイノリティーの起業支援で実績のあるベンチャーキャピタルのハーレム・キャピタルやその他の投資ファンドへの出資も表明している。

(注)1964年の公民権法よりも前にアフリカ系米国人のために設立された高等教育機関で、主に南部に設立された大学などを指す。

(齋藤秀美)

(米国)

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