カナダのバイオ医薬品企業アピリ・セラピューティクス、米国でアビガンの治験を開始

(カナダ、米国、日本)

米州課

2020年12月08日

カナダのバイオ医薬品企業アピリ・セラピューティクス(Appili Therapeutics、本社:ノバスコシア州ハリファックス)は12月2日、新型コロナウイルス感染症の治療薬候補となっている富士フイルム富山化学が開発したアビガンの第3相臨床治験を米国で開始したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。アピリ・セラピューティクスは受託臨床試験機関(CRO)のPRAヘルス・サイエンス(PRA Health Science、本社:ノースカロライナ州ローリー)を通じて、米国の47の医療機関で826人を対象に第3相プラセボ対照二重盲検比較試験(注)を実施する。アピリ・セラピューティクスは、2021年の前半には治験の初期データを報告する予定だ。

アビガンは日本国内においては、富士フイルム富山化学が9月23日に新型コロナウイルス治療薬としての有効性が確認されたことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、10月16日には、新型コロナウイルス感染症にかかる効能・効果などを追加する製造販売承認事項一部変更承認申請を厚生労働省に行っている。アビガンの海外展開については、7月1日にインド大手製薬企業のドクター・レディーズ・ラボラトリーズとアラブ首長国連邦の医療物質・医薬品提供企業のグローバル・レスポンス・エイドに対し、中国とロシア以外の海外での開発権・製造権・販売権などを独占的に付与するライセンス契約を締結している。アピリ・セラピューティクスは10月30日にこれら3社のコンソーシアムに加わっており、米国での治験に注力した後に、他の地域においても治験を実施する可能性を示唆している。

(注)治験の参加者を2つのグループに分け、一方のグループには新薬を、もう一方には対照薬を投与して比較して行う試験。どちらの薬が投与されているかは、医師、患者とも分からない状態で実施される。

(中溝丘)

(カナダ、米国、日本)

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