2021年のマクロ政策運営、「連続性」「安定性」「持続可能性」を重視、急転換はしないとの方針

(中国)

北京発

2020年12月28日

2021年の経済政策の方針を決める中国共産党と国務院の重要会議、中央経済工作会議が12月16~18日に北京で開催された。

会議では、2020年の経済政策の成果として、中国は世界主要国の中で唯一プラス成長を実現したこと、三大堅塁攻略戦(重大・金融リスク防止、貧困脱却、環境汚染防止)(注)において決定的な成果を得たこと、科学技術イノベーションにおいて重大な進展があったこと、などが示された。

現状認識として、新型コロナウイルスの感染状況の変化や外部環境に多くの不確実性が存在すること、2021年の世界経済情勢は依然複雑で厳しく、経済回復は不安定・不均衡で、ウイルスの流行に伴う各種のリスクを軽視できないこと、経済回復の基礎がいまだ堅固ではないこと、などを示した。

基本方針は、「穏中求進」(安定の中、進歩あり)という全体の基調を堅持するとされたほか、供給側(サプライサイド)構造改革の深化を主軸とし、経済成長を合理的なレンジ(区間)内に維持するよう努めることが示された。また、「六穏」(「雇用、金融、貿易、外資、投資、期待」の安定)を着実に実施すること、「六保」(雇用、民生、市場主体、食糧・エネルギーの安全、産業・サプライチェーンの安定、末端組織運営の維持)を全面的に実施することなどについては、2020年の政府活動報告の方針を維持した。なお、5中全会で示された「発展と安全をより統一的に計画する」ことも明記した。

マクロ政策の運営については、「連続性」「安定性」「持続可能性」を重視するとした。「積極財政」と「穏健な金融政策」を継続するとした上で、「政策の有効性精度を高め」「急転換はしない」との方針が示された。なお、新たに付け加えられた表現についての有識者の解釈をみると、財政政策を「より持続可能なものとする」という意味は、2021年の財政支出の緩和の程度は2020年よりも弱くすることで、財政赤字の下振れを防ぐということだ、というものや、「マクロなレバレッジ比率を基本的に安定させる」という表現からは、2021年は2018年に行ったようなデレバレッジ政策(負債比率削減)と同様の方法で強力に実施することはない、などが示されている(「フィナンシャル・タイムズ中国語版」12月21日)。

(注)三大堅塁攻略戦の成果については、同会議に先立ち、発表されていた。例えば、金融リスクの防止の成果については、中国銀行保険監督管理委員会政策研究局が12月4日に「中国シャドーバンキング報告」において、3年間の対策の結果、2019年末には広義のシャドーバンキングの規模は2017年のピーク時(100兆4,000億元)から16兆元(約256兆円、1元=約16円)削減され84兆8,000億元となったと発表。貧困脱却については12月3日、習近平総書記が党政治局常務委員会会議において、自身が総書記に就いた1012年からの8年間で、「貧困脱却の目標を期限どおり達成し、現行の基準に基づく農村貧困人口は全てが貧困から脱却した」との成果を報告した。

(藤原智生)

(中国)

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