蘇州市で2,000万元分のデジタル人民元の実証実験を実施

(中国)

中国北アジア課

2020年12月18日

中国江蘇省蘇州市政府は12月5日、デジタル人民元の実証実験を市民10万人向けに開始した。10月に広東省深セン市で実施された実証実験に続くもので、配布するデジタル人民元の総額は2,000万元(約3億2,000万円、1元=約16円)に上る。市民は専用アプリを通じて抽選に申し込み、当選者は1人当たり200元のデジタル人民元を受け取ることができる。

今回配布のデジタル人民元は市内のスーパーや飲食店など1万以上の店舗で使用できるほか、大手ECサイトの京東集団(JD.com)のオンラインショッピングでも使える。使用期間は12月11~27日で、期限内に使用されなかったデジタル人民元は回収される。また、初の試みとして、通信環境が悪いエリアでも支払いができるよう、オフライン決済の機能も取り入れた。

写真 蘇州市で配布されたデジタル人民元(ジェトロ撮影)

蘇州市で配布されたデジタル人民元(ジェトロ撮影)

中国商務部は8月に「サービス貿易のイノベーション発展の試行地区を進化させるための全体方案にかかる通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(商服貿発〔2020〕165号、以下、通知)を発表した。通知では、北京や上海、海南、大連、青島、深セン、蘇州など28の省市をイノベーション発展の試行都市に指定した。これらの都市では、デジタルビジネス環境の利便化などを推進していくことを目的としており、今回の実証実験の実施も同通知に基づいたものとなる。

中国人民銀行貨幣政策司の関係者によると、デジタル人民元は成都や河北省の雄安新区、2022年に開催予定の北京冬季五輪のシーンでも、実証実験を実施する可能性があるとしている(「人民日報海外版」9月3日)

(方越)

(中国)

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