ルーマニアで3党連立によるクツ新内閣が発足

(ルーマニア)

ブカレスト発

2020年12月25日

ルーマニアで12月23日、バシレ・フロリン・クツ首相(前公共財務相)による新内閣が、上下両院合同議会において過半数の賛成(賛成260票、反対186票)を得て承認された。これを受け、クラウス・ヨハニス大統領は、国民自由党(PNL)、ハンガリー人民主同盟(UDMR)、ルーマニア救出+自由統一連帯党(USR PLUS)による、3党連立内閣の任命に関する法令に署名した(添付資料表参照)。12月6日に行われた上下両院選挙(2020年12月17日記事参照)では、社会民主党(PSD)が第1党となったが、過半数の議席獲得には届かず、第2党のPNLを中心に連立政権を組むこととなった。

クツ新内閣では省庁再編が行われ、首相と副首相2人、閣僚18人による計21人の新体制となった。このうち、USR PLUSからの閣僚は6ポスト、UDMRからは3ポストに就いている。ルーマニア国内の報道をみると、クツ新政権に期待を込めた見方をしている記事が多い一方で、女性閣僚はラルカ・ツルカン労働・社会保護相のみの点に関し、ルーマニア革命後の30年間で最もジェンダーバランスの悪い内閣、との論評もある。

クツ新政権の主な政策方針としては、司法改革、内務省再編とデジタル化推進、国内インフラの近代化と改修、教育施設や病院の近代化などが挙げられている。特にインフラ面では、上下水道網への接続拡充のため、今後5年間で約80億レイ(約2,080億円、1レウ=約26円、レイはレウの複数形)が割り当てられる予定。また、道路インフラについては、今後4年間で主に地方道路の70%が近代化される見込み。輸送インフラ予算に関しては、2021年から2024年までの4年間、毎年GDPの2%を割り当てることを目標としている。経済政策としては、ユーロ導入基準達成のための公的債務減少、新税導入の見送り、インフレ率に合わせた年金制度への移行、各市長の特別年金支給の延期などがある。環境政策では、違法伐採対策のため国立森林局(ロムシルバ)改革が盛り込まれ、また、都市部で深刻化する大気汚染問題については、国立大気質監視ネットワーク(RNMCA)による観測データ収集およびアラートシステム導入を発表した。外交政策に関しては、引き続きEUとNATOにおけるルーマニアのプレゼンス向上、米国との戦略的パートナーシップの発展を基本路線としている。

(ミンドル・ユニアナ)

(ルーマニア)

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