ASEAN7カ国の製造業、9カ月ぶりの回復傾向に

(ASEAN)

ジャカルタ発

2020年12月08日

IHS MARKITは12月3日、ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上でASEAN主要7カ国(注1)における11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)(注2)を発表した。ASEAN平均のPMIは50.0となり、2月以降9カ月ぶりに、景気減速から脱した(添付資料図参照)。同社エコノミストのルイス・クーパー氏は「今回のデータは製造業の復調を示している」とする一方、「一部の国では新型コロナウイルスの感染者が増加しており、ロックダウン(都市封鎖)政策が強化されると需要が減少する恐れもある。いまだに不確実なことが多く、先行きを見通すのは難しい」と、回復傾向を今後維持できるかについては、慎重な姿勢を示した。

11月のPMIが50を超えたのはタイ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますインドネシア外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの2カ国で、タイは10月以降、2カ月連続となる。インドネシア商工会議所(KADIN)のシンタ・カムダニ国際関係部門副会長は地元のメディアに対し、PMIが改善した理由として、大規模社会制限(PSBB)の緩和、株式市場の堅調な推移、そして年末の消費意欲への期待を挙げた。

マレーシア外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは全国での感染者の拡大を受け、条件付き移動制限令(CMCO)の対象地域を拡大して実施したこともあり、4カ月連続でPMIは50を下回っている状況だ。しかし、IHS MARKITエコノミストのクリス・ウィリアムソン氏は「マレーシアの製造業は輸出量の減少などにより厳しい状況が続いているが、経済的影響は今年前半よりも軽減されている」とみる。同国の経済成長率は2020年第2四半期に、アジア通貨危機以来最低のマイナス17.1%を記録したが、第3四半期はマイナス2.7%と、回復基調にある(2020年11月25日記事)。

(注1)インドネシア、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、ミャンマーの7カ国。

(注2)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫レベル、雇用状況、価格などの指数に一定のウエイトを掛けて算出する指数。0から100の間で変動し、50.0は「前月から横ばい」、50.0を超えると「前月比で改善や増加」を意味して景気拡大を示し、50.0未満は「前月比で悪化や減少」として景気減速を表す。

(上野渉、シファ・ファウジア)

(ASEAN)

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