英国の港湾に混乱、物流遅延が顕著に

(英国)

ロンドン発

2020年12月11日

英国では、港湾などの混雑による物流の遅れが目立っている。英国のEU離脱(ブレグジット)に伴う移行期間の終了(2020年末)を考慮した在庫の積み増し、新型コロナウイルス感染症対策に伴う港の処理能力の低下や医療防護具(PPE)の輸入増、小売業者のクリスマス商戦による消費財の輸入増など、背景には複数の要因がある。

現地の複数の報道によると、英国のコンテナ港の混乱はここ数週間で増加しており、初めは国内最大のコンテナ港であるイングランド東部フェリックストー港で発生していたが、最近は南部サウサンプトン港と南東部エセックス州のロンドン・ゲートウェイ港でも混乱が発生している。フェリックストー港の混乱の原因の一部は、政府が調達したPPEのコンテナ1万1,000個だとされ、このうち約4,000個が現在も引き取られておらず、港湾内にとどまっている(「ガーディアン」紙12月9日)。同港の貨物取扱量は9月以降、通常の3割近く増加しているとされている(同紙12月7日)。

また、BBCなどの報道によると、自動車メーカーのホンダが12月9日、供給の遅れにより自動車部品が不足したため、イングランド南部スウィンドンの工場での生産を一時停止することを発表したという。その中で、同社は「現在、生産をできるだけ早く再開するために状況を注視している」としており、航空便など他の手配も検討中とのことだ。また、同社は12月10日にも、工場の生産を12月14日まで停止すると発表した、と報じられている。

現地の日系食品卸事業者は、日本から英国への輸出時の混乱の要因の1つとして、海運輸送の需要と供給のアンバランスを挙げている。新型コロナウイルスの影響により、2020年春に海運輸送の供給が世界的に減少した後、ロックダウンの規制緩和とともに経済活動が回復。それに伴い、輸送需要が戻りつつあるものの、輸送能力の不足は継続し、混乱や遅れが生じている、とみている。また、新型コロナウイルス対策による港湾従業員の一時帰休などにより、英国のコンテナ港で労働力が不足していることも、別の要因として挙げている。他の在英日系メーカーも、部品の輸入で物流混乱の影響を受けており、間もなく移行期間が終了する中、懸念が強まっている。

(宮口祐貴)

(英国)

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