香港のスタートアップ企業数、6年連続の増加

(香港)

香港発

2020年12月21日

香港投資推進局(InvestHK:香港の投資誘致機関)が11月に実施した調査結果(注1)によると、2020年の香港のスタートアップ数は、前回調査比6%増の3,360社となり、6年連続で増加した(添付資料図参照)。2019年からの抗議活動や、2020年に入っての新型コロナウイルス感染拡大の影響があるものの、創業の勢いは鈍っていない。

香港のスタートアップのうち、香港人(注2)が創業したスタートアップは全体の74%、香港域外の創業者によるスタートアップは26%だった。香港域外の創業者を出身国・地域別にみると、中国(15.0%)が最も多く、次いで英国(12.3%)、米国(10.7%)、オーストラリア(9.1%)、フランス(7.9%)の順となっている。米国は前年の1位から3位に転じた。

分野別にみると、例年どおり、フィンテック(456社、構成比13.9%)をはじめ、eコマース・サプライチェーンマネジメント・物流テクノロジー(385社、11.4%)などのIT系が大部分を占めている。新型コロナウイルスにより生活習慣が変わり、eコマースの利用が促進されたことが原因の1つに挙げられる。

そのほか、プロフェッショナル・コンサルティングサービスの増加(24.3%増、357社)が目立つ。また、バイオテクノロジーも71.8%増の55社と大幅に増加した。一方、ハードウエア、デザイン、フードテックはそれぞれ22.3%減の163社、22.2%減の234社、21.9%減の32社と2割以上減少した。

StartmeupHK(InvestHK内のスタートアップの誘致・支援業務に特化したチーム)のトップを務めるジェーン・チャン氏は、同調査結果の発表の際に「世界中の他の地域と同様に、香港のスタートアップ・エコシステムは、新型コロナウイルスの感染拡大による前例のない課題に直面している。しかし、香港のエコシステムは、敏しょう性(アジリティ)が高く、素早くニューノーマルに適応した。デジタル金融サービス、eコマースおよびビジネス運営ツールに対する需要の急増は、必要な製品とテクノロジーソリューションを提供しつつあるスタートアップ企業に新たな刺激を与えている。今後の香港のエコシステムの回復に期待している」とコメントした。

(注1)同調査は、2020年11月末時点の状況について、香港内に拠点を有するコワーキングスペースの提供会社、インキュベーターおよびアクセラレーター64社(116拠点)に入居もしくはメンバーシップを有する企業、新たなビジネスモデルを開発する創業間もない企業を対象に実施した。

(注2)海外で学位を取得、または海外で就業した後、起業目的で香港に戻ってきた香港人を含む。

(カン・カレン)

(香港)

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