欧州産業界、EUの復興基金と次期中期予算計画の承認を強く要望
(EU)
ブリュッセル発
2020年12月11日
2020年を締めくくる欧州理事会(EU首脳会議)が12月10日から開催されるに当たって、欧州産業連盟(ビジネスヨーロッパ)は12月7日、欧州理事会のシャルル・ミシェル常任議長に対して書簡を送付した。「新型コロナウイルス危機」による長期的な経済、社会への影響を抑え、景況感の回復、雇用の増加や生産レベルの回復に向けて、加盟国首脳に対して、復興基金および2021~2027年の次期中期予算計画(多年度財政枠組み:MFF。以下、次期MFF)案(2020年11月11日記事参照)の承認を強く求めた。
また、EUレベルでの新型コロナウイルス感染症対策のさらなる調整を求め、特に渡航制限、感染検査、自主隔離措置およびワクチンについて、共通化した対策を速やかに策定するべきだ、と訴えた。さらに、感染検査の相互承認やワクチンの供給について、産業界も協力する姿勢を示したほか、欧州の各国政府は、欧州に比べてより緩やかな制限で、感染拡大を抑えている国の経験から学ぶべきだ、とした。
欧州商工会議所は若年層の失業問題への取り組みも要望
欧州商工会議所(ユーロチェンバース)も12月9日、声明を発表し、「新型コロナウイルス危機」に関連する企業への支援の継続、復興基金および次期MFFの承認を求めた。また声明では、12月10日に欧州中央銀行(ECB)政策理事会が開催されることにも触れ、ECBが今春以降実施してきた措置の重要性を評価。ECBは、消費を増やし株式投資を刺激するための中長期的な対応だけでなく、中小企業への融資を行う銀行のリスク軽減が短期的に重要なことを認識すべき、とした。
また、「新型コロナウイルス危機」に伴う若年層の失業率の悪化に、EUと加盟国は優先的に対応すべきだとして、教育や技能研修など欧州全体での取り組みの強化を求めた。
(滝澤祥子)
(EU)
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