山東省、高齢者向けサービス分野で日本との協力に期待、ジェトロが交流会共催

(中国)

青島発

2020年12月07日

ジェトロは11月24、25日、中国の煙台市、済南市で中国国際貿易促進委員会(CCPIT)山東省委員会と「日中高齢者産業交流会」(以下、交流会)を共催した。交流会は2014年から山東省で毎年開催している。各市政府民生部門幹部らとの座談会と個別商談会の2部構成となっており、オフラインで7社、オンラインで1社の日本企業が参加した。

山東省は65歳以上の人口が中国最多の1,400万人に達し、高齢者施設やサービスへのニーズが高い。参加企業によると、煙台市、済南市ともにビジネス環境面で大きな進展が見られる。まず、市政府が土地や税制面などでより多くの優遇政策を打ち出しており、養老施設の建設・運営に高額の補助金を出している。また、介護人材の育成についても、政府は多くの専門学校や企業と協力し、介護職員に対して研修費用の補助金や職務奨励金を出し、介護職員の資質向上事業を展開している。

さらに「スマート化養老」が強く推進されている。高齢者の生活介護や健康管理、養老機構管理の標準化、効率化を図るため、情報管理システムを導入・運用する施設を政府がランク付けし、ランクに応じて補助金を出している。

座談会では課題も明らかになった。まず、 認知症老人の介護に対するニーズは高いが、対応できる施設が少なく、介護のあり方の研究も不足している。リハビリ補助器具については、ニーズは高いが、製品を知るためのルートが少ない。政府ではリハビリ補助器具のレンタルや販売分野への優遇政策実施も検討しており、座談会では、政府側から関連製品の取引を推進するプラットフォームを設立する案も提起された。このほか、80歳以上の高齢者に向けた専門養老施設や、管理能力、リハビリ・介護能力、専門介護人材も不足している。

これらの課題解決に向けて、両市の政府と養老企業は日系企業との連携に引き続き大きな期待を寄せている。

写真 交流会の様子(ジェトロ撮影)

交流会の様子(ジェトロ撮影)

(董玥涵)

(中国)

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