2025年までに公的部門のカーボンニュートラル目指す

(ニュージーランド)

シドニー発

2020年12月08日

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は12月2日、気候非常事態を宣言し、2025年までに公的部門でカーボンニュートラルを達成するという新たな目標を設定した。気候変動問題に対する政府のコミットメントをあらためて示すとともに、具体的な行動を取る緊急性を強調し、民間部門の取り組みを促す狙いがある。

政府機関、警察、国防軍、教育機関など、対象となる公的機関は毎年、排出量を測定し、報告する義務を負う。また、排出削減のための目標と作業計画を策定し、未達成の場合はオフセット(相殺)する必要がある。目標達成のため、2億ニュージーランド・ドル(約150億円、NZドル、1NZドル=約75円)の基金を活用し、公的機関における石炭ボイラーの利用を廃止するほか、所有する車両の台数を見直して電気自動車やハイブリッド車への買い替えを進める。さらに、公的機関が入居する建物に対して建築環境格付け制度(NABERSNZ)による評価(0から6つ星までの7段階)を義務付けるとともに、既存の建物の場合は最低4つ星、新築の建物の場合は最低5つ星の基準を達成する必要がある。

このほか、ニュージーランド政府は11月11日、産業プロセスにおける排出量を削減するため、企業がクリーンな電力やバイオマス発電などに切り替えるのを支援するとして、7,000万NZドルを拠出すると発表していた。

アーダーン首相は「気候変動問題への対応は政府の優先事項で、新型コロナウイルスによる打撃を受けた経済の回復にとって必要不可欠な戦略だ」と強調した。

(住裕美)

(ニュージーランド)

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