第3四半期のGDP、前期比8.9%増

(カナダ)

トロント発

2020年12月04日

カナダ統計局は12月1日、第3四半期(7~9月)の実質GDPが前期比8.9%増(年率40.5%)の2兆31億カナダ・ドル(約162兆2,511億円、Cドル、1Cドル=約81円)となったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。実質GDPは第1四半期(1~3月)に1.9%減、第2四半期(4~6月)には11.3%減と落ち込んだが、新型コロナウイルス感染拡大を受けたロックダウン(都市封鎖)が解除され、経済社会活動が再開されたことで、第3四半期に反発した。

第3四半期のGDPを需要項目別にみると、住宅投資や耐久財の家計支出、財輸出が大幅に増加し、GDPの伸びに寄与した。統計局はこれらの要因として、住宅ローン金利の低下や、新型コロナウイルスの感染拡大(パンデミック)の影響を受けた家計や企業への政府の継続的支援、主要貿易相手国の経済の回復を挙げている。

ただ、第3四半期のGDPは依然として、パンデミック前の2019年第4四半期(10~12月)の水準を5.3%下回っている。統計局は今後の経済見通しについて、感染拡大第2波を受けてトロント市などがロックダウン措置を実施していることから、完全な経済回復には時間がかかるとの見方を示している。

第3四半期のGDPと併せて発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした9月の実質GDP(速報値)は前月比0.8%増加し、年率換算のGDPは1兆9,110億ドルとなった。実質GDPは5カ月続けて拡大した。3、4月の急落からの回復傾向は続いているが、成長ペースは8月(0.9%増)からやや減速した。また、9月のGDPはパンデミック前の2月の水準をまだ約5%下回っている。

統計局の発表によると、10月の実質GDP成長率の推計値は約0.2%増となっている。カナダ帝国商業銀行(CIBC)のシニアエコノミスト、ロイス・メンデス氏は「第4四半期は予想していたより低調なものの、まだ成長で始まっている。しかしその先には、厳しい経済規制下の12月があり、経済活動が再び縮小する可能性が高い」とコメントしている(CBCニュース12月1日)。

(江崎江里子)

(カナダ)

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