第57回メルコスール首脳会合を開催、通商協定への姿勢に温度差

(アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイ)

ブエノスアイレス発

2020年12月22日

第57回メルコスール首脳会合が12月16日、オンライン形式で開催され、アルゼンチンがウルグアイから議長国を引き継いだ。アルゼンチンは2021年6月30日まで議長国を務める。

共同声明では、域内の電子商取引を円滑にするための共通の法的枠組みを定めたメルコスール電子商取引協定の交渉終了、サービス貿易に関するモンテビデオ議定書の第8回改定交渉の開始に祝意を示すとともに、第三国・地域との通商協定に基づく輸入割当枠管理のメカニズム「メルコスール輸入割当統制管理システム(SACIM)」の合意、メルコスールの域内原産地規則の改定作業の進展など、ウルグアイが議長国を務めたこれまでの6カ月間の成果を確認した。

第三国・地域との通商協定については、2019年6月に政治合意に至ったEUとの自由貿易協定(FTA)の署名に向け、最大の意欲をもって取り組むことを再確認した。2019年8月に政治合意に至った、アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタインの4カ国が加盟する欧州自由貿易連合(EFTA)とのFTAは、法的精査作業が進展しており、署名に向けた作業の早期終了を期待するとした。

共同声明によると、メルコスール4カ国は、現在交渉中のカナダ、レバノン、シンガポール、そして発効済みのイスラエルとの間で技術会合を行った。イスラエルについては、FTAの関税譲許表改定のため、メルコスールの規定を尊重しつつも柔軟な姿勢で交渉に臨むことを、4カ国は確認した。他方、2018年3月に交渉開始したカナダとは交渉を早期に妥結する意思を、2018年5月に交渉開始した韓国とは交渉の継続を確認した。また、将来の新たな通商協定の交渉相手国として、インドネシア、ベトナム、中米およびドミニカ共和国を挙げた。

12月16日付の現地紙「ラ・ナシオン」(電子版)は、FTA交渉に対するアルゼンチンと、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイの3カ国との温度差を伝えている。同紙によると、ウルグアイのルイス・ラカジェ・ポウ大統領が求めた韓国との交渉加速やイスラエルとの協議加速に対し、アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領は「より良いメルコスールが必要」「包摂的、持続的な経済回復のための行動を確認することを求める」「栄養失調状態の国内経済では堅固な経済になり得ない」と述べている。また、第三国・地域との通商協定について、フェルナンデス大統領は「軽率に市場を開放することなく、時代錯誤の閉鎖をすることもなく、国内経済を守りながら開放しなければならない」と述べ、国内の雇用に悪影響を及ぼすことなく経済を改善するための現実的な協定への署名を求めた。

(西澤裕介)

(アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイ)

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