英国とEU間の貿易協定なき移行期間終了を見越し、物流が混乱

(フランス、英国)

パリ発

2020年12月22日

英国とEUの貿易協定を含む将来関係交渉の合意がないまま、移行期間が終了することを見越し、英国企業などがフランス製品の在庫を積み増す動きが加速している。これに伴い、英仏海峡(ユーロ)トンネルのフランス側の入り口があるカレー市周辺では、数十キロにわたる大型貨物トラックの渋滞が発生している。ニュース専門局BMFTV外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは12月18日、オー・ド・フランス地域圏のブレグジット(英国のEU離脱)担当副長官ポール=フランソワ・シラ氏の話として、フランスから英国に渡る大型貨物トラックの台数は、12月17日に1日で約9,000台と記録的な数字に達したと伝えた。通常、1日当たりの交通量は、英国とフランスからの双方向で合わせて約1万2,000台だが、12月に入り、1万7,000台を超える交通量があるという。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、英仏間を結ぶフェリーの運航本数が減ったことも、陸上輸送の交通量を増やす要因となっている。

移行期間終了に対応するため、フランス税関は2021年1月1日から税関手続きをデジタル化し、新たなシステムを稼働させる。企業が事前に手続きをすれば、同システムの利用により貨物トラックの渋滞は回避できるとして、企業に事前準備の徹底を呼び掛けている。

他方、フランス政府は、英国における新型コロナウイルス変異種の感染拡大を理由に12月21日午前0時から48時間、英国からの入国を一時停止すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。英国からはヒトの入国だけでなく、陸上、航空、海上、鉄道による貨物の入国も停止された。ただし、フランスから英国へのヒト・貨物の動きは、通常どおり可能となっている。フランス政府は、英国からの入国者にPCR検査を義務付ける方向で、欧州各国と調整する意向を示した。また、在英フランス人には、クリスマスのためにフランスに帰省する前にPCR検査を実施するよう求めている。

(山崎あき)

(フランス、英国)

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