日本食レストラン、過去最多の4,000店舗超え

(タイ)

バンコク発

2020年12月21日

ジェトロが12月15日に発表した「2020年度タイ国日本食レストラン調査PDFファイル(403KB)」によると、タイの日本食レストラン数は4,094店舗となり、前年調査から12.6%増加した。前年は日本食レストランの営業を確認できなかった県もあったが、2020年は全ての県で日本食レストランの営業が確認され、日本食の裾野の広がりを示す結果となった(添付資料表参照)。新規出店など前年からの増加数は1,183店舗で、2007年の調査開始以来最多となった。他方、日本食レストランの総数が増えたことに加え、新型コロナウイルスによる事業環境の悪化などもあってか、閉店や休業など前年から減少した店舗数も過去最多の726店舗となった。

地域別の店舗数をみると、バンコクは前年比5.6%増の2,105店舗、それ以外の地方は21.0%増の1,989店舗だった。日本食文化の浸透や価格帯の多様化による顧客層の拡大、バンコク以外の商業施設の増加などの要因により、地方での増加が顕著だ。日本人が多く居住するチョンブリー県が2位となったほか、3位のノンタブリー県は鉄道整備などの効果により50.6%増となった。

業種別に見ると、フランチャイズ展開の拡大により「寿司」が大幅に増加し、これまで最も店舗数が多かった料亭・定食などが含まれる「日本食(総合和食)」を超えた。

フランチャイズ希望者が増加

前年調査から今回調査までの間に新型コロナウイルスが発生し、感染拡大防止のための商業施設閉鎖などにより、飲食店は大きな影響を受けた。現在、日本食レストランの売り上げと客足は回復傾向にあるが、大手チェーンの2020年第3四半期(7~9月)の決算報告をみても、前年同期実績を割り込んだ企業が多かった。外国人観光客やビジネス会食利用者などが多かった店舗では、特に回復が遅れている。

一方、新型コロナウイルスの影響で解雇された従業員の中には、補償金などを元手に日本食レストランのフランチャイズ・ビジネスを行いたいという希望者もいた。ジェトロが複数の日本食レストランにヒアリングしたところ、フランチャイズ希望者から相次いで問い合わせを受けている事例も確認された。地方店舗を中心に、今後の店舗数の拡大に意欲的なフランチャイズ経営者も複数いた。

(丸山淳也、福田かおる)

(タイ)

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