経済相が交代、後任はクルティエール下院議員

(メキシコ)

メキシコ発

2020年12月09日

メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は12月7日の記者会見で、タチアナ・クルティエール・カリージョ下院議員(シナロア州選出)の経済相就任を発表した。前任のグラシエラ・マルケス・コリン氏は、上院による承認を経て国立統計地理情報院(INEGI)の運営委員に就任する。

クルティエール新経済相は56歳、シナロア州クリアカン出身だが、モンテレイ工科大学で英語学士、ヌエボレオン自治大学で公共行政修士を修めるとともに、モンテレイ近郊のサン・ペドロ・ガルサ・ガルシア市政府に勤務するなど、ヌエボレオン州との係わりが深い。父のマヌエル・クルティエール氏(故人)は、1988年の大統領選挙で国民行動党(PAN)の候補者だった。兄のマヌエル・ヘスス・クルティエール・カリージョ氏も下院議員を務めた。新経済相自身も2003~2006年に下院議員を務めた。1991年からPANに所属し、下院選挙にはPANから立候補したが、2005年に離党して無所属で議員を続けた。2017年の大統領選でロペス・オブラドール氏の選挙キャンペーンに加わり、自身も国家再建運動(MORENA)から下院選挙に立候補、当選した。

企業家調整評議会(CCE)は新経済相就任について、ツイッターで祝意を伝えるとともに、ビジネス界は新経済相と対話する準備があり、国民にとって利益となる経済成長に向けた提案を行うことを表明した。メキシコ工業会議所連合会(CONCAMIN)のフランシスコ・セルバンテス会長も、就任への祝意を示すとともに、「議論すべきことは数多くあり、新経済相に期待している。良いメキシコのために一緒に働いていけると確信している」とコメントした。メキシコ経営者連合会(COPARMEX)のグスターボ・デ・オジョ会長は「経済相の交代に特段の困難を感じることはなく、ビジネス界との関係が急速に変化するとも考えない」とオンラインの会議で語った。他方、マルケス経済相時代に経済省傘下の貿易投資促進機関プロメヒコと国立起業家院(INADEM)が廃止されたことが残念だったとコメントした。

経済相交代以外にも、政権幹部の交代が発表された。大蔵公債省のガリア・ボルハ・ゴメス連邦財務官がメキシコ中央銀行副総裁兼理事として大統領から指名された。海軍のアナ・ラウラ・ロペス・バウティスタ大佐(Capitan de Altura)が港湾・海運調整官に任命された。港湾・海運調整官の前任者ロサ・イセラ・ロドリゲス・ベラスケス氏は現在、公共治安相を務めている。

(稲葉公彦)

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