シーメンスとドイツ鉄道、水素電車の試験運行で協力

(ドイツ)

ミュンヘン発

2020年12月02日

ドイツ電機大手シーメンス傘下のシーメンス・モビリティーとドイツ鉄道(DB)は11月23日、水素をエネルギー源とする電車の試験運行で協力すると発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。今回の試験走行は「H2goesRail」と名付けられ、2024年から1年間、ドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州のチュービンゲン市周辺で実施する。

シーメンス・モビリティーが製造する燃料電池とリチウムイオン電池を搭載した2両編成車両「Mireo Plus H」はチュービンゲン市と、ホルブ市(チュービンゲン市の西約40キロ)、プフォルツハイム市(チュービンゲン市の北西約70キロ)のルートを走行する。1年間で約12万キロの走行を見込む。同ルートが選ばれた理由は、最適なダイヤで運行されており、かつ、さまざまな地形があり試験に適していると判断したためという。

エネルギー源となる水素は、DB子会社のDBエナジーがチュービンゲン市で、再生可能エネルギーを使った電気分解で生産する。この結果、このプロジェクトによる二酸化炭素(CO2)削減量は約330トンになると見込まれている。水素電車の航続距離は、走行条件にもよるが、600キロで、電車への水素の充填(じゅうてん)は約15分で完了する。電車の整備はチュービンゲン市の東約100キロにあるウルム市のDB工場で行う。

この試験運行は、ドイツ交通・デジタルインフラ省(BMVI)が管轄する「水素・燃料電池技術革新国家プログラム・第2フェーズ(NIP2)」の枠組みで助成される見込み。バーデン・ビュルテンベルク州のビンフリート・ヘルマン交通相はこのプロジェクトについて、「わが州は近代的で持続可能な鉄道交通の先駆けになる」とコメントしている。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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