11月の消費者物価、災害で上昇率が拡大

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年12月09日

インドネシア中央統計局(BPS)は12月1日、2020年11月の消費者物価指数(CPI)を発表した。11月は前月比0.28%で上昇幅が0.21ポイント拡大した。前年同月比では1.59%の上昇となった(添付資料図参照)。

前年同月比のCPIは、8月まで低下傾向が続き、それ以降は上昇傾向を示している。主要品目別では、輸送と情報・通信・金融サービスがともに下落している。他方、上昇した品目はパーソナルケア・その他サービス(6.21%)、医療(2.98%)、食品・飲食・たばこ(2.87%)、レストラン(2.11%)、教育(1.40%)となった(添付資料表参照)。

前月比では、2カ月連続で上昇した。主要品目別では、パーソナルケア・その他サービス(マイナス0.23%)と住宅・水道・電気・ガス・家庭用燃料(マイナス0.04%)が下落した。他の品目は1%未満ではあるが、食品・飲料・煙草(0.86%)、医療(0.32%)、輸送(0.30%)、衣類・履物(0.14%)、教育(0.12%)が上昇した。

地域別では、調査対象90都市のうち、83都市で上昇し、7都市で下落した。上昇率が最も高かった都市はマルク州のトゥアル(1.15%)で、水産品の価格上昇が要因となった。一方、物価下落率が最も大きかったのは、南東スラウェシ州のクンダリで、0.22%の下落となった。ジャカルタ首都特別州では0.27%と、前月より大きく上昇した。鶏肉、航空輸送、赤唐辛子の価格上昇が影響した。

BPSの流通・サービス統計担当副局長のスティアント氏によると、11月の物価上昇の原因は、大雨によって食品などの供給網に影響があったためだ(「コンパス・テンポ」紙12月1日)。インドネシアの商業銀行バンク・セントラル・アジアのチーフエコノミストであるデイビッド・スムアル氏は、今後の見通しについて「年末の連休など、時期的な要因が消費者の需要を押し上げる可能性があるが、それでも新型コロナウイルス前のレベルを下回る。中間層の買い控えは依然として続いている」との見方を示した(「ジャカルタ・ポスト」紙12月1日)。

(デシー・トリスナワティ、尾崎航)

(インドネシア)

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