政府はEU・英国間の通商・協力協定合意を前向き評価、最善の準備を要請
(オランダ)
アムステルダム発
2020年12月28日
オランダ政府は12月24日、EUと英国が通商・協力協定に合意したこと(2020年12月25日記事参照)を受け、前向きに評価すると発表した。時間的猶予がない中で困難かつ他に類を見ない交渉の結果、英国との新たな将来関係を築くことができたとして、双方の交渉チームに賛辞を贈った。オランダや他のEU加盟国、欧州議会は合意案を慎重に検討し、公正な競争条件とオランダ漁業者の英海域へのアクセス、協定のガバナンスには特に注意を払う必要があると述べた。時間は限られるが、EU理事会での決定前に、オランダ政府は議会に協定内容の評価を送付し、協議することになる。2021年1月1日から英国との関係に新しいルールが適用されることになるが、企業や国民もこれを認識することになり、可能な限り事前に最善の準備をすることが重要だと強調した。
オランダ産業経営者連盟(VNO-NCW)とオランダ中小企業連盟(MKB)は共同で今回の合意を歓迎するとともに、EU加盟国がEU理事会を通じて今回の通商・協力協定を承認し、暫定的に適用することを期待すると発表した。また、オランダ企業への影響を明らかにするため、早急に合意案の正確な把握と影響の規模などを検証する必要があると述べた。主な論点は解決されたが、1月1日から英国との貿易ははるかに困難になり、実際には2021年に明らかになるが、国境での追加コストも発生することから、EU英国将来関係タスクフォースとも緊密に連携し、新しい状況に備えるとした。
オランダ運輸・物流協会(TLN)のエリザベス・ポスト会長は、通商・協力協定の合意が明確になったことを評価する一方、「英国は年明け以降『第三国』となり、国境管理が行われ、通関手続きなどが発生する。今回の合意はそれを変えることはない。全ての物流工程に関わる企業に対し、まだ準備をしていない場合は早急に準備することを要請する。さらに、物流工程内で互いに確認することが重要で、一方の当事者が準備をしていなければトラックは税関を通過せず、文字通りボートに乗り遅れることになる」と指摘した。
(高橋由篤)
(オランダ)
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