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中国の王外相、アジア・ソサエティのイベントで米中関係の改善を呼び掛け

(米国、中国)

ニューヨーク発

2020年12月22日

米国ニューヨークに本拠を置く非営利組織アジア・ソサエティは12月18日、王毅・中国国務委員兼外交部長を招いて、米中関係の将来に焦点を当てたイベントを開催した。王氏は、トランプ政権による対中強硬政策を批判しつつ、米国の次期大統領就任が確実なジョー・バイデン前副大統領が掲げる優先課題では協力できる余地が多くあるとして、両国間の戦略的な対話の枠組みを復活させるべきと呼び掛けた。他方、通商政策での制裁強化や、新疆ウイグル自治区とチベットでの人権問題などで、中国を抑圧しないよう牽制した。

王氏は40分ほどの講演の中で、中国の対米外交方針を説明しつつ米中関係の現状を分析し、最後に両国が今後構築すべき関係について述べた。まず、中国は米国との関係において「対立せず、相互に尊重し合い、互恵的な協力関係」を志向しており、その方針は常に変わっていないとした。他方、米国の政府・議会高官は対中認識において戦略的な誤算をおかしているとし、恣意(しい)的な内政干渉や単独での制裁措置をやめて、「可能な限り早く、客観的かつ持続可能な政策に戻る」ことを要求した。

その上で、バイデン氏が掲げる優先課題4点(新型コロナウイルス対策、経済回復、人種的平等、気候変動)に触れ、そのうち人種的平等を除く3つの課題では、米中は協力して世界の発展に貢献できるとした。そのために、米中は戦略的な対話の枠組みを復活させるべきだと提案した。両国は、共和党ジョージ・ブッシュ(子)大統領と胡錦涛国家主席時代の2006年に、政府高官で経済問題などを協議する戦略対話の枠組みを創設した。民主党オバマ政権期でも継続されたが、トランプ政権では断絶している。王氏の発言は、同様の枠組みを習近平国家主席とバイデン次期大統領の間で復活させるべきとの提案とみられる。米国の識者の中でも、バイデン氏が同様の考えを検討しているとみる向きもある。

王氏は、米国に協力を呼び掛ける一方、バイデン次期政権との間でも摩擦が想定される、政治体制の違い、主権と領土の統一性、通商関係、海洋問題、人的交流の5つの分野に関しては、中国としてあらかじめ譲れない点を強調した。例えば通商については、米商務省が同日発表した中国企業を対象とした輸出管理の強化(注)に触れ、「安全保障上の懸念を拡大解釈して、恣意的に中国企業を抑圧すべきでない」と批判。トランプ政権も問題視する新疆ウイグル自治区とチベット自治区での人権問題についても、人権侵害自体が存在せず、この件への外国の関与は内政干渉に当たると牽制した。

(注)米商務省は12月18日、中国などの企業・組織77団体を、人権侵害などを理由にエンティティー・リスト(EL)に追加すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

(磯部真一)

(米国、中国)

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