ADB、中国の2020年の経済成長率を2.1%に上方修正

(中国)

中国北アジア課

2020年12月11日

アジア開発銀行(ADB)は12月10日に発表した経済見通しで、2020年の中国の経済成長率を2.1%と、9月時点の予測(1.8%)から上方修正した。ADBは、中国政府の継続的な財政・金融面での景気刺激を踏まえたものとしている。そして、緩やかな雇用市場の回復が消費の重荷となっており、製造業投資は力強さを欠くとしつつも、政府主導のインフラプロジェクトや堅調な不動産市場が投資を支えるとみている。世界経済の回復状況がリスクとして、不確実性は高いとしながら、中国の2021年の成長率を7.7%と見通した。ちなみに、OECDは12月1日に、中国の2020年、2021年の成長率をそれぞれ1.8%、8.0%と予測していた。

中国における企業の景況感は上向いている。国家統計局と中国物流購買連合会が11月30日に発表した11月の製造業購買担当者指数(PMI)は、前月よりも0.7ポイント上昇の52.1と、景況感の改善と悪化の境目となる50を9カ月連続で上回り(2月は35.7)、2017年9月以来の高水準になった。国家統計局サービス業調査中心の趙慶河高級統計師は同日、新型コロナウイルス感染の防止・コントロールと経済・社会の発展の両側面の取り組みの効果が明らかになり、中国経済は引き続き安定的に回復している、と評価していた。

PMIを構成する指数では、生産が10月より0.8ポイント上昇の54.7、新規受注が1.1ポイント上昇の53.9と好調だ。また、PMI関連指数では、新規輸出受注が10月より0.5ポイント上昇の51.5、輸入が0.1ポイント上昇の50.9などとなった。

企業規模別でみたPMIは、大型企業、中型企業、小型企業でそれぞれ53.0、52.0、50.1といずれも境界線を越えた。10月よりそれぞれ0.4ポイント、1.4ポイント、0.7ポイント上昇した。非製造業のビジネス活動指数は56.4で、4カ月連続の改善となり、2013年10月以来の高水準になった。

(宗金建志)

(中国)

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