ド・クロー首相、気候変動問題などでの米国との協力に期待

(ベルギー、米国)

ブリュッセル発

2020年11月13日

ベルギーのアレクサンドル・ド・クロー首相は11月7日、米国大統領選挙でのジョー・バイデン前副大統領の当選確実との報道を受け、祝意を表明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

声明において、ド・クロー首相は「共通の価値観を守るために欧州・米国間の同盟をさらに強化し、国民同士を結び付ける友情を深める準備ができている」と述べた。また、NATOとEUが本部を置くベルギーは、米国が新たな大統領のリーダーシップの下、欧州統合の支援を継続することを期待しており、米国とEUが協同することが、多国間主義の強化につながるとした。さらに、「気候変動問題や新型コロナウイルス危機への対応、テロリズムとの闘いは国際的な優先課題で、国際協力と連帯の精神に基づいて取り組まなければ解決しない」として、米新政権と協力して取り組んでいく意向を示した。

また、米国初の女性副大統領となる見通しのカマラ・ハリス氏にも祝意を示し、「男女平等に権利と機会が与えられていることを、世界の若い女性に示す重要なロールモデルになる」と述べた。

対等なパートナーとしての協力関係に期待

11月8日の当地のメディアVRTのインタビューで、ド・クロー首相は「米国と欧州が共に取り組めば、気候変動問題などの大きな課題に対応できる」 としつつも、「欧州は世界最大の貿易圏で、気候変動対策と開発援助に最も投資をしている。欧州は地政学的プレゼンスを高め、主権を強調すべきであり、常に米国と寄り添う必要はない」とし、対等なパートナーとしての今後の協力関係に期待を示した。

また、11月9日付の「レコー」紙は、「バイデン政権に代わっても、『古き良き時代』に戻るわけではなく、EUがボーイングへの補助金に対する報復措置として追加関税の賦課を決定(2020年11月10日記事参照)したように、欧州も変化しており、EUは自らの利害を米国に対し主張し続けるべきだ」と述べ、もはやトランプ政権以前の米欧州関係ではない、と指摘する専門家のコメントを掲載。バイデン氏が自由貿易に反対する工業地域を抱える北東部の各州でも勝利している点を指摘し、トランプ大統領と同様に同地域の有権者を意識した政策を継続する可能性も示唆した。

(大中登紀子)

(ベルギー、米国)

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