初の市中感染発生で不要不急の外出を避けるよう指示

(モンゴル)

北京発

2020年11月16日

11月10日の深夜に、モンゴルで国内初の市中感染が確認された。モンゴル政府の発表によると、感染者はロシアから入国したトラック運転手とその妻で、運転手の男性は入国後21日間の隔離を終えた4日後に、PCR検査で陽性反応が確認された。これに伴い、モンゴル政府は11月11日から13日までの3日間、ウランバートル市の封鎖、学校の臨時休校などの緊急措置を発表した。

政府はさらに、11月12日午前6時から11月17日午前6時までの間、これまでの「高度警戒準備態勢」を「全国警戒態勢」(注1)に引き上げること、不要不急の外出を避けること、キーワーカー(注2)以外の活動の停止、公共交通機関の運行時間制限(注3)を決定した。

国家非常事態委員会が感染者の隔離後の行動経路を調査したところ、当該運転手は11月8日にコンサートを見たことが判明し、国民が不安になっているため、報道機関に対し当局が発表する公式な情報に基づき正確に報道するよう指示した。また、同委員会は、国民に対してソーシャルメディアでの不確かな情報をうのみにせず、当局が発表する情報を確認すること、食料品の備蓄は十分にあるので、買いだめを行わないよう呼び掛けた。なお、公正競争消費者庁は、食料品の便乗値上げを行う業者には罰則を科すと警告した。

一方、モンゴル保健省は運転手の濃厚接触者73人に対してPCR検査を行ったところ、1人が陽性と判明し、73人の濃厚接触者と接触のあった219人についてPCR検査を実施した結果、全員が陰性だったと発表した。また、運転手の同居家族2人にも感染が確認され、その2人と接触があった人を特定し、PCR検査を行っている。

なお、11月11日時点のモンゴルの累計感染者数は382人で、うち317人は回復している。

(注1)災害防止法には、警戒度の高い順に1.非常事態、2.全国警戒態勢、3.高度警戒準備態勢の3段階が定められている。

(注2)活動が許可されるのは、電力・上下水道・清掃、日用品・食料品店、スーパーマーケット、病院・葬儀会社、薬局、ガソリンスタンド、通信会社および報道機関、越冬準備、その他国家の重要機関など13業種。

(注3)公共交通機関の運行は、午前6時から午前10時まで、午後5時から午後10時までの間に制限される。

(藤井一範)

(モンゴル)

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