米アークトゥルス開発の新型コロナワクチン、2021年早々にも供給へ

(シンガポール)

シンガポール発

2020年11月13日

米国のバイオ製薬会社アークトゥルス・セラピューティクス(Arcturus Therapeutics)は11月9日、シンガポールの国立医学大学院、デュークNUSの研究者と共同開発中の新型コロナウイルスワクチン「ARCT-021 (LUNAR-COV19)」を早ければ2021年第1四半期(1~3月)にも、シンガポールに供給を開始できるとの見通しを明らかにした。

同ワクチンの臨床試験は現在、シンガポールで約106人の被験者を対象に行われている。アークトゥルスによると、初期臨床試験の結果はこれまでのところ好調だとしている。シンガポール経済開発庁(EDB)は今回、同社にワクチン製造の機器、材料などの資金として、4,500万米ドルの限定償還請求権付き(リミテッド・リコース)融資を行う契約を締結した。また、EDBはアークトゥルスと最大1億7,500万米ドルの同ワクチン購入契約も結んでいる。同社はシンガポールのほか、イスラエル保健省とも最大2億7,500万米ドルのワクチン販売契約を締結している。

アークトゥルスは2013年創立のバイオ製薬会社で、米ナスダックに上場。DNAから塩基配列を写し取り、タンパク質を作るメッセンジャーRNA(mRNA)を体内に投与するmRNA医薬品を開発している。同社のアンディー・サシーン最高財務責任者(CFO)は報道発表の中で、「世界各国の製造パートナーとともに、今後18カ月間でARCT-021を数億単位で製造できる体制を構築しており、世界の新型コロナウイルスのパンデミック収束に貢献できると信じている」と述べた。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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