米カリフォルニア州、自動運転車両の商用利用に向けたプログラム発表

(米国)

サンフランシスコ発

2020年11月27日

米国カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)は11月19日、企業が自動運転車両で乗客輸送サービス(注1)を提供し、乗車料金を請求することを許可する2つのプログラムを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

今回のプログラムは「ドライバーあり」と「ドライバーなし」の自動運転車両を対象に設けており、プログラムに参加したい企業はCPUCの発行する乗客輸送業者(Charter-party Carrier)専用のクラスP許可証(Class P permit)かクラスA認証(Class A certificate)のいずれかと、カリフォルニア州陸運局(DMV)が発行する自動運転車両公道利用許可証(AV Deployment Permit)を取得する必要がある。また、同プログラム参加企業は走行・旅客データと四半期報告書をCPUCへ提出することが求められる。提出するデータは、集約かつ非特定化された個々の乗客の乗車・降車場所、不利な境遇下にあるコミュニティー(注2)へのサービス水準、車両の燃料タイプと充電状況、車両の走行マイルと旅客マイルなどが含まれる。

また、「ドライバーなし」自動運転車両プログラムの許可保有者は、身体が不自由な乗客や視覚障害のある乗客など全ての乗客に対するリスクを最小限に抑えるための取り組みを概説する乗客安全計画を提出しなければならない。さらに、新型コロナウイルス感染拡大を考慮して、新型コロナウイルス緊急計画の提出も義務付けられる。

このように法整備が進む一方、現地メディアは同州内ですぐに自動運転車両によるサービスが受けられることはないだろうとみている。自動運転技術はまだ開発途上の段階にあることや、プログラムの申請プロセスには数カ月を要することが予測されるためだ。現在、同州DMVから「ドライバーあり」自動運転車両試験走行許可を得ている企業は59社(11月2日時点)、「ドライバーなし」の試験走行許可を得ている企業はオートXテクノロジース、クルーズ、ニューロ、ウェイモ、ズークスの5社のみとなっている(10月15日時点)。

なお、CPUCは2018年5月、一定の条件を満たす企業を対象に、自動運転車両に乗客を試験的に乗せるパイロットプログラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを許可した。

(注1)1回の乗車で1組の乗客を乗せるサービスだけでなく、複数組が乗り合わせるサービス(shared ride)も含む。

(注2)貧困や高い失業率、水質汚染など、経済的、環境的、健康的に負担がかかる地域のこと。

(田中三保子)

(米国)

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