三井住友海上、イスラエル拠点設立に向けて提携
(イスラエル)
テルアビブ発
2020年11月05日
三井住友海上火災保険(以下、三井住友海上)が、イスラエルのダイレクト損害保険会社IDIインシュランスと提携し、新たに現地にイノベーションハブを設置する、とイスラエル現地紙が報じた(11月3日付)。今週内の開業を予定しており、新商品やサービスの導入を通じ、イスラエル・日本両国におけるインシュアテック分野のイノベーションを牽引する。
東京とシンガポールにも拠点を置く同ハブは「GDH TLV」と命名され、IDIインシュランスのテクノロジー・イノベーション担当副社長のラズ・バルトフ氏が代表を務める。同社CEO(最高経営責任者)のコビ・ハーバー氏は、声明の中で「三井住友海上との提携は戦略的なもので、業界での競争上で優位に立つことができる」とした。
同報道によれば、MS&ADインシュアランスグループホールディングス(以下、MS&AD)執行役員グループCDO兼三井住友海上取締役副社長執行役員の舩曵真一郎氏は「イスラエルは世界の主要なイノベーションセンターの1つで、中でもIDIインシュランスとの提携は、最近のデジタル技術の効果を活用できるとともに、当社グループの効率的な運営にとって非常に効果的」と述べ、今回の提携への期待を表明した。また、新型コロナウイルスの影響による渡航制限が解除された際には、日本人駐在員の派遣も想定されているという。
MS&ADは、2019年5月にイスラエルの投資会社 FinTLV Venture CapitalおよびアクセラレーターSOSA TLVとの業務提携を発表している。また、三井住友海上は同じ5月、イスラエルの人工知能(AI)スタートアップのネクサーと提携し、ドライブレコーダーの映像から、事故状況を自動的かつ正確に文章や図で説明するシステムを開発した。2014年にも同じくイスラエルのソフトウェア開発会社アイオンロードと提携し、安全運転アプリを共同開発するなど、自社のビジネスモデルに積極的にイスラエルの技術を取り入れている。同社は米国拠点のVC(ベンチャーキャピタル)のMS&ADベンチャーズを通じて、複数のイスラエルのスタートアップ〔ネクストインシュアランス、バンビダイナミクス、ヒッポインシュアランスサービス、ビドゥコネクテッドトラスト(以下、ビドゥ)〕に出資しており、2020年10月29日付でビドゥとのIoT(モノのインターネット)機器を対象としたサイバーセキュリティ診断サービスに係る共同研究・開発も発表している。
今回新たにイスラエルに拠点を設置し、日本人駐在員を配置することになれば、同社のイスラエルにおける取り組みがますます加速すると予想される。
(吉田暢)
(イスラエル)
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