豪とNZ、RCEP協定がもたらす新たな輸出機会に期待

(オーストラリア、ニュージーランド)

シドニー発

2020年11月17日

オーストラリアのサイモン・バーミンガム貿易・観光・投資相は11月15日、スコット・モリソン首相とともに第4回東アジア地域包括的経済連携(RCEP)首脳会合に参加し、RCEP協定に署名した(2020年11月16日記事参照)。オーストラリアにとって、貿易相手国上位15カ国中9カ国が参加し、双方向貿易の58%、輸出の67%を占める同協定は、雇用の創出と輸出機会の拡大に貢献することが期待される。

署名に立ち会ったモリソン首相は「オーストラリアの雇用の5分の1は貿易に依存しており、新型コロナウイルスの影響を受けた経済の再建にとって、RCEPの交渉妥結は非常に重要だ」と強調した。バーミンガム貿易・観光・投資相は「RCEP協定によってもたらされる開放性、バリューチェーンの統合、共通の原産地規則は、オーストラリアの輸出産業を拡大し、特に金融、教育、医療などのサービス部門の域内展開を促進する」と期待を寄せた。

経済団体ビジネス・カウンシル・オーストラリア(BCA)は「過去30年に及ぶオーストラリアの成功はアジアとの貿易や投資によって築かれたものであり、RCEP協定はさらなる成長機会と雇用をもたらす」と歓迎した。財界団体オーストラリア産業グループ(Aiグループ)は「データ移転やプライバシーに関するルールの確実性が高まり、域内のデジタル貿易が促進される」と期待を寄せた。「オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー」紙(電子版11月16日)は「サービス貿易相手国の多様化につながり、中国依存の低減が期待できる」と報じている。

ニュージーランドにとっては、貿易相手国上位10カ国のうち7カ国が参加する協定であり、輸出の56%を占める。ジャシンダ・アーダーン首相は「新型コロナウイルスによる経済的影響から回復し、ニュージーランドの産業が輸出と投資機会を拡大するのを助ける」と述べ、「教育などのサービス産業や、生鮮食品を輸出する一次産業など、さまざまな産業がASEAN市場へアクセスする新たな機会を得ることができる」と期待を寄せた。

(住裕美)

(オーストラリア、ニュージーランド)

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