ジョージア議会選、与党の過半数獲得がほぼ確実

(ジョージア)

欧州ロシアCIS課

2020年11月05日

旧ソ連コーカサス3カ国のうちの1つ、ジョージアで議会選挙(一院制)が10月31日に実施された。与党「ジョージアの夢」が優勢で、過半数の議席獲得が確実視されている。

議会は150議席で、比例代表120議席と小選挙区30議席で構成される。中央選挙管理委員会が11月1日に発表した暫定結果によると、比例代表では、与党「ジョージアの夢」が得票数の48.21%を獲得。野党連合「団結の力」は27.18%で2位だった。このほかに、阻止条項(注1)である得票率1%を超えた政党・政治ブロックが7つあった。小選挙区では、30選挙区のうち14カ所において「ジョージアの夢」候補者が50%超の得票率を得て勝利。残りの16カ所は11月21日に実施される決選投票(注2)で決することになるが、「ジョージアの夢」が過半数の議席を獲得することはほぼ確実だ。

欧州安全保障協力機構(OSCE)は11月1日に、今回の選挙は「競争があり自由が尊重されていた」と評価する声明を発表した。一方、野党連合「団結の力」の一角を構成する「統一国家運動党」の幹部サロメ・サマダラシビリ氏は「選挙期間中、与党による有権者への圧力があり、贈収賄がみられた」と主張。選挙不正を非難し、選挙やり直しを求める抗議集会への参加を市民に呼び掛けている(ロシア紙「コメルサント」11月1日)。

今回の議会選について専門家の多くは、想定どおりの結果で、野党による抗議活動はすぐに収束するとの見方を示している。ロシア科学アカデミー東洋学研究所のアレクサンドル・スカコフ副所長は「予想どおりとなった。新型コロナウイルス感染症対策をはじめ与党がうまく国を管理・運営できていることや、与党に対抗しうる第2の勢力が生まれなかったためだ」と指摘(ロシアメディア「ズベズダ」11月1日)。ジョージアの政治学者ギヤ・アバシゼ氏は「抗議運動は発生するが、すぐに沈静化するだろう。西欧諸国が選挙の正当性を認めているからだ」と述べた(ジョージア独立系ロシア語メディア「ソバ」11月1日)。

なお、ロシアとの関係について、スカコフ副所長は「変化なし」と回答。ロシア連邦院(上院)国際問題委員会のコンスタンチン・コサチョフ委員長も「今回の選挙結果は2国間関係に変化をもたらさない。いかなる政党が勝利しても、両国関係が改善するチャンスはないだろう」とコメントしている(「コメルサント」紙11月1日)。

写真 ジョージア議会(ジェトロ撮影)

ジョージア議会(ジェトロ撮影)

(注1)少数政党の乱立を防ぐために、比例代表において得票率が基準値を下回る政党には議席を配分しない制度のこと。いわゆる「足切りライン」。

(注2)ジョージアの小選挙区制では、50%を超える得票者がいなかった場合、決選投票を行う。

(齋藤寛)

(ジョージア)

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