コンテ首相、米国のバイデン前副大統領に祝意表明

(イタリア、米国)

ミラノ発

2020年11月11日

イタリアのジュゼッペ・コンテ首相は11月7日、米国大統領選挙で民主党のジョー・バイデン前副大統領の勝利が確実となったことを受けて、ツイッター上で祝意を表明し、「われわれは、大西洋をまたぐ関係のさらなる強化に向けて、バイデン氏とともに取り組んでいく準備ができている」と述べた。ルイジ・ディ・マイオ外務・国際協力相も同日、「イタリアと米国の友情は深く、歴史的なルーツを持つ。平和と自由を守るべく、われわれの関係をより強固なものにするよう取り組む準備ができている」と述べた。

イタリアのシンクタンク、国際政治研究所(ISPI)は同7日、トランプ現政権下の両国関係と、バイデン政権が誕生した場合の見通しを発表。それによると、米国とイタリアの友好関係は長い歴史を持つものの、この4年間、イタリアは他の欧州諸国と同様、緊張関係の渦中に置かれ、対米関係におけるバランスを模索してきたと指摘。バイデン政権が誕生すれば、米欧間の自由貿易協定やその他の協議事項でも、建設的な協調と対話が再開されるとみている。

ただ、米新政権が発足しても、イタリアと中国の2国間関係は引き続き米国側の関心事項となりそうだ。ISPIが発表した見通しでは、米国側からみれば、イタリアは同盟国でありながらも、中国が提唱する「一帯一路」構想に関する覚書にG7で最初に署名したことなどから、国際的な不安定性を生む可能性のある存在だったと指摘。こうしたイタリア側の姿勢が、トランプ政権が中国に対する警戒感を高めるようイタリアに促すことにつながったとみている。

実際、マイク・ポンペオ米国務長官は9月のイタリア訪問の際、イタリアに対し中国の影響力増大への警戒を訴えている。ISPIの見通しでも、新大統領が誕生して政治的立場は変わっても、米国が中国に対する姿勢を緩めることはないだろうとし、今後、米国がイタリアなど欧州諸国に対し、中国との関係性についてより明確な態度をとるように求めていく可能性を指摘している。

(山崎杏奈)

(イタリア、米国)

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