カナダ中銀、インフレ目標達成まで政策金利を0.25%に据え置き

(カナダ)

トロント発

2020年11月05日

カナダ中央銀行は10月28日、金融政策会合を開催し、政策金利を0.25%に据え置くと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2.0%のインフレ目標が持続的に達成されるまでは金利を据え置く方針で、2023年までインフレ目標の達成はないと見込んでいることを明らかにした。

また、新型コロナウイルス感染拡大を受けた、経済刺激策として実施してきた量的緩和政策の再調整も発表した。企業や家計の借入金利低減に直接的な影響を与える長期国債購入へ移行するとともに、国債の買い入れ規模を従来の週50億カナダ・ドル(約3,950億円、Cドル、1Cドル=約79円)から同40億Cドルへ徐々に縮小する。量的緩和政策は、経済が順調に回復するまで調整を行いながら継続される。

今後の経済見通しについては、同日公表した金融政策報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、2020年の実質GDP成長率を、前回7月時点のマイナス7.8%からマイナス5.7%に上方修正した。これは夏季の経済再開に伴い、新型コロナウイルスで後退した景気の回復が予測以上のペースで進んだことによる。2021年の成長率は4.2%へ下方修正し、今後の感染拡大などの状況次第で回復が遅れる恐れがあることを示唆した。2022年は3.7%の予測を維持し、同年にカナダ経済は「新型コロナ禍」からの回復を果たす、としている。

政策金利発表を受け、ロイヤル・バンク・オブ・カナダ傘下のRBCエコノミクスのシニアエコノミスト、ジョシュ・ナイ氏は、顧客への調査報告で「これまで以上に深刻な都市封鎖(ロックダウン)と経済活動の停滞が起こらない限り、カナダ中央銀行が(英国やオーストラリア、欧州など)他国・地域の中央銀行の経済刺激策に追随することはないと考えている。もし追加の経済刺激策が必要になった場合でも、カナダ中央銀行のティフ・マックレム総裁がマイナス金利の可能性は低いと繰り返していることから、量的緩和が優先されるだろう」とコメントしている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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