シカゴ連銀ベージュブック、8月下旬から9月にかけ自動車生産・販売は回復傾向維持

(米国)

シカゴ発

2020年11月04日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は10月21日、地区連銀経済報告(ベージュブック)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注1)を公表した。その中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、8月下旬から9月にかけての同地域の経済活動について、堅調に(robustly)向上したが、前回報告時(7月から8月上旬まで)に比べて低調で、依然として新型コロナウイルスまん延以前(注3)の水準を大きく下回ると報告した。報告の調査対象者からは、今後数カ月で経済活動がさらに活発になることを期待する声が聞かれたが、前回報告時と同様に、完全な回復は早くて2021年後半とする意見が大半だ。

経済活動を分野ごとに見ると、雇用は全体的に堅調に(robustly)回復した。製造業や農業分野では、高い失業率にもかかわらず、非熟練労働者の獲得は新型コロナウイルスまん延以前に比べて、わずかに容易になったにすぎないとの報告があった。また、小さな子供がいる労働者に対しては、勤務スケジュールへの配慮がされているとの報告も引き続き聞かれた。

個人消費は堅調に(robustly)増加しており、家財道具や趣味、スポーツ用品の販売が好調で、自動車も力強い消費がみられた。企業支出はわずかに(slightly)増加した。サプライチェーンに部分的に課題を抱えているものの、ほとんどの製造業者は在庫水準は適当としている。設備投資にはほとんど変化はなく、投資計画の多くが中断されている。

製造業の活動は控えめに(modestly)増加しており、自動車生産は新型コロナウイルスまん延以前の水準にほぼ回復した。食品加工業の活動にも力強い増加がみられ、設備の拡張に関する計画も報告された。

農業に関しては、在庫の減少や中国への輸出拡大により、トウモロコシや大豆、小麦の価格が上昇しており、政府の追加支援と相まって、2020年内の収入増加への期待が高まっている。

個々の調査対象項目ごとのポイントは添付資料参照。

(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立って年8回公表しており、銀行からの報告やビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。

(注2)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部。

(注3)米疾病予防管理センター(CDC)によると、米国では2月後半から3月にかけて感染が広がり、トランプ大統領が3月13日に国家非常事態を宣言した(2020年3月17日記事参照)。

(藤本富士王)

(米国)

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