映画館再開後100日間の興行収入、前年同期の56%の水準に回復

(中国)

北京発

2020年11月05日

映画興行データ分析アプリ「灯塔専業版」は10月28日、新型コロナウイルスの影響で営業を停止していた映画館が再開してから100日間の中国国内の興行状況を発表した。7月20日から10月27日午後9時までの全国の興行収入(以下、興収)は120億2,400万元(約1,803億6,000万円、1元=約15円)となり、前年同期間の56.0%の水準まで回復した。

同発表によると、1日当たりの興収は、営業再開初日には422万1,600元にとどまっていたが、その後回復し、興収が最も多かった日には7億4,000万元まで回復した。このうち、国慶節連休期間(10月1~8日)の興収は39億4,800万元に達し、同期間としては2019年に次ぐ過去2番目の興収を記録した。

100日の間には、「ナタ~魔童降臨~」「ハリー・ポッターと賢者の石」など旧作を含め194作品が公開された。このうち、主に国慶節期間中に公開された「八佰」「我和我的家郷」「姜子牙」はそれぞれ、31億1,000万元、26億2,000万元、15億7,000万元の興収を記録し、上位3位を占めるヒット作となった。この3本の興収だけで、100日間の全興収の6割強を占めている。

新型コロナウイルス感染対策のため、映画館では再開当初、入場を座席の30%未満に制限していたが、現在は75%までに緩和されている。また観客の入りを示す着席率は、7月時点の全国平均6.4%から10月時点には14.1%に回復した。8月以降の月間観客数も延べ1億人に近い規模で推移し、10月の観客数は27日までで1億5,200万人に達した。

報道によると、今後1カ月以内に、四川省成都市、陝西省西安市、河南省鄭州市、重慶市などにおいて少なくとも9カ所以上の映画館のオープンが予定されている(「北京商報」10月27日)。また、映画館チェーンの万達電影は、今後3年間で約31億元を投じ、江蘇省、河北省、河南省、広東省などにおいて計162カ所の映画館を新設する計画を発表している。

新型コロナウイルスの影響が残る中でも投資を拡大する動きについて、中国伝媒大学共同イノベーションセンターの斉勇鋒教授は「逆風下の拡大策にはリスクがあるが、自社の発展状況および映画業界の発展の方向性を十分に分析した上で行動すれば、今がシェア拡大のチャンスとも言えるだろう」とコメントした(北京商報10月28日)。

(趙薇)

(中国)

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