マクロン大統領、移動制限措置の緩和発表

(フランス)

パリ発

2020年11月26日

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は11月24日、新型コロナウイルス感染症への対応に関して国民に向けたテレビ演説を行い、10月30日に再び導入した移動制限措置の緩和の見通しなどについて説明した。

マクロン大統領は感染状況について、1日当たりの新規感染者や重症者の数が減少したことから、「第2波のピークは越えた」としつつ、1日の新規感染者数を5,000人以下に引き下げる目標の達成にはまだ数週間かかるとして、移動制限措置の緩和を段階的に進める方針を示した。

具体的には、11月28日から非生活必需品を含む全ての小売店の営業を再開、厳格な衛生プロトコルを順守した上で、午後9時まで営業を可能とする。散歩やスポーツなどを目的とした外出には、特例外出証明書の携帯が引き続き必要となるが、自宅から20キロの範囲で3時間まで認める。

第2段階として、1日の新規感染者数が約5,000人、集中治療室の重症者数が2,500~3,000人程度に減少した場合、12月15日に移動制限措置を解除する。映画館や劇場、美術館が再開される一方、レストランやアミューズメントパークの営業、大規模な集会・イベントなどは引き続き禁止される。移動制限措置に代わって、午後9時から翌日午前7時までの夜間外出禁止措置を導入する。ただし、12月24日と31日は、公共の場所での集会は禁止するが、夜間の外出は自由とする。

第3段階として、1日の新規感染者数が5,000人を下回る場合、2021年1月20日からレストランやスポーツジムなどの営業を再開し、夜間の外出禁止時間を短縮する。

大統領は第3波の到来を避ける手段として、感染拡大予防に向けた国民一人一人の責任ある行動と検査・アラート・感染者の保護・治療体制の拡充、ワクチン接種の3つを挙げた。2021年1月にはPCR検査の結果を24時間以内に、抗原検査の結果を30分以内に出せるようにする。抗原検査は学校や高齢者施設を中心に実施する。ワクチンについては充分な調達と安全性を確保した上で、大規模な予防接種キャンペーンを行うとした。

経済危機への対応として、レストランなど引き続き休業措置の対象となる企業に対して、現行の支援措置の適用を継続するとともに、連帯基金支援金の上限を企業規模にかかわらず1万ユーロまたは2019年の年間売上高の20%に設定する方針を示した。

(山崎あき)

(フランス)

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