新型コロナ対策で入国制限を再強化、ビザ免除凍結も2021年5月まで延長

(カザフスタン)

タシケント発

2020年11月11日

カザフスタン政府は11月2日に開催した省庁間委員会会議で、新型コロナウイルス検疫強化のため、空路による入国の制限を11月3日から強化すると発表した(カザフスタン首相公式ウェブサイト11月3日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。また既に、10月28日には国際便で入国する自国民、外国人を問わず全ての旅客に対し、72時間以内に検査されたPCR陰性証明書の提示が義務化されている(新型コロナウイルス政府公式サイト10月29日、注1)。

発表の主な内容は以下のとおり。

  • 日本を含む57ヵ国の国民に対するビザ免除の一時凍結を2021年5月1日まで延長する。
  • 中国、インドからのトランジット乗客を対象とした72時間以内のビザなし滞在を2021年1月1日まで停止する。
  • 11月9日からカザフスタンとトルコとの定期国際便を週33便から20便に減便する。
  • カザフスタン国内に居住権をもつ外国人とその家族、カザフスタン国民と家族関係を持つ外国人の出入国を90日に1回に制限する。

カザフスタンでは11月上旬には国内の新規感染者数が、1日当たり400人を超え増加傾向にあり(テングリニュース11月5日)、欧州やロシアなどと同様に新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念されている。このため、政府は予防措置として感染率が高い州での検問所などの設置を始めた。しかしその一方で、国民の新型コロナウイルスに対する意識について、警戒感や防疫措置への意識は薄れているようで、例えば「検査は受けていないが、新型コロナウイルス発症時と同様の症状を体験した。自分は無事に感染を乗り越えたようだ」と述べる者が多い。とはいえ、外国人の入国には敏感に反応している。事実、10月下旬にチャーター機で入国した124人の石油関連施設建設の外国人労働者(注2)の映像がSNSで拡散したことがあり、その際は国民から感染拡大を懸念する声が上がっている(情報ポータルサイト「ザコンKZ」10月28日)。

11月5日現在、カザフスタン国内の新型コロナウイルス感染状況は、累計感染者数11万4,235人、累計死者数1,857人、累計回復者数は10万7,139人となっている(「新型コロナウイルス政府公式サイト」11月5日)。

(注1)カザフスタン国民および居住権をもつ外国人は、PCR陰性証明書を提示しない場合、指定検疫施設で7日間隔離と経過観察が課される。居住権を持たない外国人は、PCR陰性証明書なしでは航空機に搭乗できない。

(注2)アティラウ州カラバタンでのポリプロピレンプラント建設に従事する中国人技術者。商用ビザで入国した。同プロジェクトは中国国家開発銀行が資金を提供し、中国化学工程集団(CNCEC)が請け負っている(情報ポータルサイト「アザッティック・ルフ」10月27日)。

(増島繁延)

(カザフスタン)

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