イタリア投資誘致機関、アリババと提携しウェブ上にパビリオンを設置

(イタリア、中国)

ミラノ発

2020年11月30日

イタリア政府の投資誘致機関、イタリア貿易促進機構(ITA/ICE)は11月23日、中国の電子商取引(EC)大手のアリババグループと覚書(MoU)を締結したと発表した。アリババが運営するB2B向けのプラットフォーム「Alibaba.com」内に「メードインイタリーパビリオン」を新設、イタリアの中小企業のデジタル化と国際化の促進につなげる。

ICEの発表によると、同パビリオンは常設のオンライン展示会として機能し、イタリアの輸出企業は製品やカタログを展示、Alibaba.com上の190カ国2,600万のバイヤーと直接やり取りをすることが可能になるとしている。300社のイタリア企業が参加の予定で、企業は同プラットフォームのプレミアム会員として24カ月間の利用が可能となっている。費用はICEが負担する。

ICEは本取り組みを通じて、イタリアの中小企業を世界的な電子商取引(EC)の土俵に誘導し、デジタル化を支援しつつ成果につなげることを目的とするほか、アリババ側も、特に重点分野となるアパレル、機械、食品や化粧品などのセクターの企業のデジタルトランスフォーメーションをサポートし、同社プラットフォームに参加する企業を増やすことを狙う。

なお、ICEとアリババは2018年に既に提携を開始しており、今回の取り組みはその延長線上となる。同年に、アリババが運営するB2C向けのECサイト「天猫(Tmall)」内に「helloITA」という名の特設ページを設置。中国の消費者向けにイタリア産品をアピールする事業を行ってきたが、今回の覚書により、新たにB2Bサイト上でも専用ページを設置し、協力を深化させたかたちだ。

今回の提携を受けて、イタリアのルイージ・ディ・マイオ外務・国際協力相は「ECは『メードインイタリー』の復活にとって重要で、新型コロナウイルスの感染拡大によって打撃を受けた企業の支援に意義ある貢献をもたらす」とし、取り組みに期待を寄せている。

なお、イタリア外務・国際協力省は2020年6月、コロナ後を見据えたイタリア産品の輸出促進策(Patto per l’Export)を発表しており、今回のアリババとの提携は同施策の一環として締結されたかたちになる。ちなみに、アリババが政府機関とパートナーシップを組むのは、欧州では初となる。

(山崎杏奈)

(イタリア、中国)

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