2021年の最低賃金、ジャカルタは引き上げ、西ジャワは据え置き

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年11月10日

インドネシアの各州が、2021年の州最低賃金(UMP)を発表した。10月26日付の労働相の要請(2020年10月28日記事参照)に従い、多くの州が最低賃金を据え置く中、ジャカルタ首都特別州、中部ジャワ州、東ジャワ州、ジョグジャカルタ特別州、南スラウェシ州が引き上げを発表した。

インドネシアの最低賃金上昇率は、2015年に制定された政令78号で、「前年の9月から当該年の9月期の物価上昇率」と「前年第3・4四半期(7~12月)と当該年の第1・2四半期(1~6月)のGDP成長率」の和と定められている。一方、2021年の州最低賃金をめぐっては、イダ・ファウジヤ労働相が10月26日、新型コロナウイルス禍において労働者に対する保護と労働継続性を提供すると同時に、雇用者・企業の事業継続性を維持するために、2020年の金額から引き上げないよう調整を求める旨の回状を公布していた。

「コンパス」紙など現時点の報道をまとめると、主要な州における2021年の州最低賃金額は、ジャカルタ首都特別州で3.27%増の441万6,186ルピア(約3万2,238円、1ルピア=約0.0073円)、東ジャワ州で5.65%増の186万8,777ルピアとなる一方、西ジャワ州で据え置かれ、181万351ルピアだった(その他の州については、添付資料表参照)。

ただし、ビスニス・インドネシアによると、ジャカルタ首都特別州については、アニス・バスウェダン知事が、新型コロナウイルスの影響を受けている場合、最低賃金の据え置きを容認する発言をしており、運用が注目される。

今後は、今回発表された州別最低賃金などを基に11月21日ごろ、県・市別の最低賃金(UMK)が発表される見込み。多くの日系企業が集積する西ジャワ州ブカシ県やカラワン県では、最低賃金が国内最高水準にある。同州の州別最低賃金は据え置かれたが、県・市最低賃金の動向に引き続き注視が必要だ。

(尾崎航、デシー・トリスナワティ)

(インドネシア)

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