新型コロナ禍においても、日米中から相次ぎスタートアップに出資

(イスラエル)

テルアビブ発

2020年11月27日

11月24日付の現地紙は、三井住友海上がイスラエルのインシュアテックスタートアップであるヒッポ・エンタープライズ(以下、ヒッポ)に、3億5,000万ドルの出資を行ったと報じた。ヒッポは従来の住宅向け火災保険市場に対して、パソコンなどのホームオフィス設備への補償の充実や、IoT(モノのインターネット)デバイスの導入によるスマートホーム化、デジタル技術を活用したホームケアサービスなどを含めた製品パッケージを提案しており、2021年には全米の住宅所有者の95%が同社のサービスに加入することを目標にしている。

今回の出資は、2020年7月に、三井住友海上と同じくMS&ADホールディングスのグループ会社であるMS&ADベンチャーズが、ヒッポのEラウンド調達に対して行った出資に続くものになる。報道によれば、今回の出資に伴い、MS&ADベンチャーズのマネージングパートナーである佐藤貴史氏が、ヒッポの取締役会にオブザーバーとして参加するなど、関係を強化している。

また、同日付の現地紙は、米国セールスフォース傘下のベンチャーキャピタルであるセールスフォースベンチャーズが、イスラエルのモバイルマーケティング分析プラットフォームのスタートアップであるアプスフライヤーに1,500万ドルを出資したと報じた。報道によれば、両社は実際の出資額を公表していないものの、アプスフライヤーのDラウンドの調達は合計で2億1,000万ドルに上り、同社のこれまでの調達額の合計は20億ドルに達するとされる。

さらに、11月23日付の現地紙は、中国のYinniu Microelectronics(銀牛微電子)が、イスラエルのファブレスの半導体製造スタートアップであるインニュイティブに1億600万ドルを出資したと報じた。インニュイティブは、スマートフォンやAR(拡張現実)・VR(仮想現実)デバイス、ロボットなどに搭載可能なAI(人工知能)と3Dイメージング、コンピュータビジョン、深層学習などの機能を持つチップを製造しており、スマートデバイスの進化に貢献することが期待されている。

イスラエルでは、「新型コロナ禍」においても大型の投資案件が続いており、年間の総投資額も前年を上回る勢いであることから、今後も成長段階にあるスタートアップへの投資動向が注視される。

(吉田暢)

(イスラエル)

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