10月の自動車販売、祭事期に向けて売れ行き好調が続く

(インド)

ベンガルール発

2020年11月19日

インド自動車工業会(SIAM)は11月11日、10月の自動車統計(出荷ベース)を発表した。乗用車販売〔多目的車(UV)とバンを含む〕は、11月中旬のヒンドゥー教の大祭「ディワリ(灯明祭)」の特需に向けて、ディーラーが在庫を積み増したことで、前年同月比14.2%増の31万294台となった(添付資料表1参照)。うち、一般乗用車は9.7%増の18万2,692台とプラス成長を確保したものの、増加率は前月の28.9%からは縮小した。一方、UVは20.4%増の11万3,990台、バンは29.2%増の1万3,612台と、いずれも2桁台の伸び率を維持した。

主要メーカー別でみると(添付資料表2参照)、主要メーカー12社のうち、9社がプラス成長だった。首位のマルチ・スズキは前年同月比17.6%増の16万3,656台、2位の現代自動車が13.2%増の5万6,605台で、ともに堅調な伸びを続けた。また、起亜自動車は61.3%増となり、最も高い伸び率を示した。ホンダ、トヨタなどを含む、ほかのメーカーの販売も持ち直しの傾向にある。車種別では、小型SUV(スポーツ用多目的車)およびエントリーレベルの小型車が引き続き需要を牽引し、スズキの「アルト」「エスプレッソ」および「ビターラブレッツァ」、現代の「ベニュー」と「クレタ」、起亜の新規モデル「ソネット」および「セルトス」、ルノーの「トライバー」などの販売増が著しかった。

二輪車は、前年同月比16.9%増の205万3,814台となり、9月の11.6%増から成長が拡大した(添付資料表3参照)。セグメント別では、スクーターの販売台数が1.8%増の59万507台だった一方、オートバイは農村部からの堅調な需要を背景に、23.8%増の138万2,749台と大幅な伸びを続けている。

乗用車、二輪、三輪車を含む全体の自動車販売総数は、前年同月比14.0%増の239万295台だった(商用車の単月販売データは2020年4月以降、公表されていない)。祭事期に向けて、引き続き好調な販売が続くとみられているが、中長期的にこの傾向が続くかどうかは、新型コロナウイルスの影響もあり、不透明感が残る。

(ディーパック・アナンド)

(インド)

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