10月の消費者物価指数、3カ月ぶり上昇も経済回復が遅れる懸念

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年11月13日

インドネシア中央統計庁(BPS)は11月2日、10月の消費者物価指数を発表した。前月比0.07%となり、7月以降初めて物価上昇に転じた。前年同月比の物価上昇率は1.44%で前月の上昇幅をわずかに上回った(添付資料図参照)。

前年同月比の物価上昇率は2020年6月から入って2%未満にとどまり、低水準が続いている。主要品目別では、輸送と情報・通信・金融サービスが2月以降低下を続けている。ほかに上昇した品目はパーソナルケア・その他サービス(6.62%)、医療(2.93%)、食品・飲料・たばこ(2.25%)、レストラン(2.11%)、家庭用機器・工具・定期メンテナンス(1.33%)の順となった(添付資料表参照)。

前月比では7月以降初めて物価上昇となったものの、依然として低水準だった。主要品目別では、パーソナルケア・その他サービス、輸送など5品目が下落した。上昇を記録した品目も1%未満の上昇率にとどまった。上昇した品目は、食品・飲料・たばこ(0.29%)、レストラン(0.19%)、医療(0.15%)、衣類・履物(0.09%)、教育(0.04%)だった。品目別では、赤唐辛子、赤玉ネギ、食用油の価格が上昇した。

地域別で、調査対象の90都市では24都市で低下し、66都市で上昇した。最も下落した都市は西パプア州のマノクワリ(マイナス1.81%)で、航空料金の下落が主要因だった。(「コンパス」紙11月2日)。他方、北スマトラ州のシボルガでは1.04%上昇し、主要都市のうち上昇率が最も高かった。ジャカルタ首都特別州では0.01%上昇にとどまった。

インドネシア経済・金融開発研究所(INDEF)エコノミストのビマ・ユディスティラ氏によると、物価上昇率が低水準にあることは購買力の低下を表しており、結果的に、経済回復や労働者の雇用にも悪影響を及ぼす可能性がある。特に、ジャワ島の中間・上層階級の購買力が低く、支出を差し控えている。加えて、ホテルやレストランなどの観光セクターの活動が新型コロナウイルスの影響で制限されたことで、食料品や輸送サービスの需要が低い傾向にある。今後低水準の物価上昇が続くと、企業活動へのさらなる影響が懸念される。(「オケゾーン」紙11月2日)

(デシー・トリスナワティ、尾崎航)

(インドネシア)

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